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ドアや窓の鍵はきっちり閉めたので侵入する「者」は皆無な筈だが、ライトは当たり前のようにここに居る。透けていれば壁を通り抜けて家に入る事は可能かもしれないが、ライトの体は透けている様子もなく、なんなら野菜すら触って触れている。そうなると目の前に居るこいつは幽霊か?魔法使いか?透明人間か?
「私は幽霊でも魔法使いでも透明人間でもないですよ。言ったでしょう?私は貴方自身だと」
淡々とした口調で出会った時に話していた言葉を紡ぐ。
「あー……だったな………って説明になってねぇよ!」
ライトは、ボーとその行動を見つめた。
「どーせまた「いずれわかる」とか言うんだろ?飯……お前の分も作ってやるから少し座っとけ」
てきぱきとゴボウを洗うと、人参を次に洗い始める。
ライトは黙って椅子に座ると、料理をする
トントントントン。
トントントントン。
リズム的な音のみが部屋に広がり、2人だけの空間はゆっくりと時間が流れるように落ち着いている。
朝が早いからか外からの音は一切なく、開かれた大きな窓からは朝日が照らし出し、僅かに残っている木の葉が影を作り出して幻想的な雰囲気を醸し出す。
そんな静寂閑雅な空間を切り裂いたのは
「なぁ……」
ライトに声をかけたが、手は動かしたままでリズム的な音が響く。
ライトは、
「何か?」
トントン……ト……。
ライトは、特に表情を変えず黙って言葉を待った。
「……本当に……消えるのか?」
そんな
「はい」
ライトの言葉には重みも感情もなく、ありのままの真実を紡ぎだしているかのようだ。
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