第8話 諒の彼女
「さて、これから裁判を始めます」
俺は学校についた後、何故か諒の机で裁判にかけられていた。
何故かといっても理由は明白である。
「検察官、被告の容疑を」
「はい。被告人高宮 和くんは朝学校に登校してきた際に、同じクラスの白幡 綾さんと登校していました。」
そして検察官になりきっている人は諒の彼女────
「弁解の余地なし。死刑」
「俺に人権はないのか」
「あると思ったのか」
「まじかよ」
それ程白幡さんと登校していた事は重罪らしい。
……確かに友達が急に美少女と登校していたら驚くだろうけど。
諒で前例を知っている俺は少し納得してしまった。
「でも連絡先まで交換したんでしょ? 和くんチャンスだよ!」
「チャンスねぇ……」
桜木さんが言っている様に確かに彼女が出来るチャンスではあるが……
「今現在の視線が辛いです…………」
「あー……」
諒と桜木さんは苦笑いした。
美少女転校生がクラスの特に目立ってもいないようなやつと登校していたのだ。
何故あんなやつと? と思う人が大半だろう。
そして俺は男子はまだしも女子からも痛い視線を受けていたのだ。
「ま、折角家も近いんだろ? ワンチャンあるなら頑張れよ」
そう言った諒は俺の肩を叩いた。
「うーん……まあ考えとくよ」
「またまたそんな事言って〜和くん気になってるんでしょ?」
桜木さんが的確なツッコミを入れてきた。
「まあ…………それはそうかもだけど……」
「でしょでしょ! 私も応援してるから頑張ってね!」
最早俺が白幡さんを好きみたいになっているのは気のせいだろうか。
こうなると陰キャの俺には白幡さんには釣り合わないので迷惑をかけているかなと心配になってくる。
「じゃ、そろそろチャイム鳴るし私は戻るね」
「うぃ、今日の夜も電話かけていいか?」
「ちょっと! 諒くん! 和くんの前でそんな事言わないで! …………もちろんいいけど」
「ごめんごめん、じゃあよろしく」
「まったくもう」
諒は少し笑いながら謝っていた。
…………非リアの前でイチャイチャを見せつけないでいただきたい。
「いてっ」
俺は諒の腹に小突きを入れて席へ戻った。
道を教えただけの転校生が何故か俺にばかり構ってくる なゆた @nayu_24
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