第4話 放課後の呼び出し

「〇〇高校から来ました。白幡 綾(しらはた あや)です。これからよろしくお願いします」


 そう自己紹介をした彼女は、深々とお辞儀をした。


「「「うおおおおおお!!!」」」


 自己紹介が終わった後、一部の男子から歓声が上がっていた。


 しかし、倉本先生はそんな男子達をなだめる事もせずに冷静に話を続けた。


「じゃあ白幡の席は……そこの高宮の隣な」

「えっ」


 俺は驚いて思わず声を出してしまった。

 白幡さんもこちらに気付いて驚いた顔をしていた。


 俺の席は後ろの方だったので、自己紹介をしている時には気付かなかったのだろう。


「じゃあ今日の日直は佐々木だ。よろしく」


 そう言うと倉本先生は教室を出ていった。


 そして休み時間。


「白幡さんってどこから来たのー?」

「白幡さん可愛いね〜!」


 俺の隣の席は賑やかだった。

 もちろん、転校生というものが珍しいという事もあるのだが、それ以上に彼女の顔が可愛いのというのもあるだろう。


 クラスの男子達は少し離れた席から白幡さんを見てヒソヒソしている。


「おい! お前が話しかけろよ!」

「嫌だよ! そんな事言うならお前がやれ!」


 …………ヒソヒソと話しているが丸聞こえだった。


「あっ……そ、その……ありがとうございます」


 白幡さんはしどろもどろながらにも丁寧に返事をしていた。


 時よりこっちを話したそうにちらちら見られたのだが、女子の標的にされるのも怖いので、気付いていないふりをしていた。


(諒の所に行くか……)


 おそらくこの様子だと1週間程度はこの様子だろう。


 ここに居ても居心地が悪いので俺はしばらく諒の所へ避難する事を決めた。


 白幡さんは放課後まで引っ張りだこで、「一緒に帰ろ〜?」などの誘いを受けていた。


「ごめんなさい……職員室に行かなければならないので……」


 そう白幡さんが返すとクラスの女子はそっか〜、と言いつつ仕方ない様子で帰っていった。


 俺はこの後部活があるので、準備をして足早に音楽室へ向かおうとしたのだが……


「待ってください、高宮さん」


 やはり、呼び止められた。


「あれ? 職員室に行かなきゃいけないんじゃないんですか?」


 俺はほんの出来心から少し意地悪な返しをしてみた。


「…………」


 白幡さんは黙ってしまった。


「え、ちょ、そんな怒らないでください」


 流石にマズかったか、と思いつつ白幡さんに謝った。


「……場所を変えます。ついて来てください」


 白幡さんは少し怒った口調声で言った。


 幸い、今日の練習は個人練習だったので少し程度遅刻しても大丈夫だろうと踏んで俺は白幡さんについて行ったのであった。

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