第2話 迷子の美少女……?

 帰り道。


 駅に着いた後もイヤホンを付けながら帰り道を歩いていた。特に好きなアーティストなどもいないので、流行りの曲や好きな曲を適当に流していた。


 後は夏のコンクールが近づくと、音源をYou〇ubeから拾ってきて参考に聞くくらいだった。


(帰ったら何しよっかな……)

 音楽を聞きながらそんな事を考えていると。


「……すみません」


 イヤホンを付けていた事で反応に数秒遅れたが、こちらに向かって女の人が話しかけてきていた。


「はい? なんでしょうか?」


 イヤホンを外しつつそう返事をすると、

「コンビニってこっちで合ってますか……」と少し恥ずかしそうに聞かれた。

 手にはスマホが握られていたが、どうやら文明の利器を使っても分からなかったらしい。


(コンビニまでの道すら迷うなんて大丈夫かこの人……)


 一応そこそこ田舎なのでコンビニは確かに少し遠い。ここから歩いても十五分くらいはかかる。


(だとしても迷う事ってあるのか……)


「少しスマホを見してもらっても? 」

「どうぞ」


 了承を取った俺は彼女のスマホの画面を覗き込んで、指を指しながら、


「この通りの角を曲がって、その道を真っ直ぐを行くとありますよ」と教えた。


 そして彼女は「ありがとうございます」と深々にお辞儀をした後、


「お名前を教えてもらえませんか?」と聞いてきた。


「え?」と驚いた反応をすると、

「いや、折角助けてもらったので」と何か誤魔化し気味に言われた。


 流石に答えないというのも失礼なので、


「高宮 和です」と答えた。

「高宮さん、ですね。ありがとうございます。それでは」


 よっぽど恥ずかしかったらしく、まだ頬は赤らめていた。


 そして、教えてもらった道を早足で歩いていった。


 頭に?を浮かべつつも俺は、


「可愛いなぁ……」


と呟いた。


 顔も整っていて綺麗だったという事もあるだろう。


 そんな美少女にあんな恥ずかしそうな顔でに聞かれれば、思春期の彼女なし男子高校生には充分過ぎる攻撃力だった。


(今日はラッキーだったな……)


 そう思いながらイヤホンを耳に付けて、帰り道を再び歩き出した。

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