第19話 蟻塚遊び

幼児が蟻を追いかける姿を見るのは癒される。


砂弄りをしていると近くを働き蟻が通りかかる。


持っている砂を降り掛けるも多少の砂ならば容易に搔い潜り抜けてしまう。


それならばと、持てる限りの砂を落として砂山に埋める。


木の枝など刺して墓標とするも、蟻は這い出して逃げてしまう。


結局、踏み潰して納得できる蟻塚となるまで蟻を追い回すのである。


蟻を無惨に踏みつける姿は、未だ己の為す行いの意味を知らないのだ。


蟻が絶滅するか、人間が砂のない環境で一生を終える時代までこの営みは繰り返されるに違いない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る