第2話 鼻腔に焼鏝を突き込まれた話

「花粉症」の名称が普及する以前、薔薇熱とかローズフィーバーなどといった洒落た呼ばれ方していたとされる。

しかし、私が小学二年の当時としては原因不明の鼻炎として扱われた。


「とりあえず焼いてみようか」


そう言って、医師は嗅ぎ麻酔を処置後に母と姉に私の四肢を抑えさせた。

レーザー焼灼機器などという物など無い時代だ。

電球のフィラメント部分のような赤熱した器具を鼻の穴に突き込まれる。


私「スルメを焦がしたような臭いがする」

医「君の鼻の穴のお肉が焦げてる臭いだよ~」


なんとも情緒に溢れた状況説明である。


医「焼いた隣の血管が浮き出てきたから、もうちょっと焼いてみるね~」


といった事を繰り返し、鼻腔内を数周ほど焼き続けられた。


私は全身の神経が鼻に集中しているのでは思うくらい鼻以外が鈍感で、代わりに鼻だけが並外れて敏感、おまけに麻酔自体が効き難い体質である。


何人もの看護師達が見守る中、拘束役を家族にやらせた意図を理解した時には為す術も無かった。

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