若草きらりは大声で叫ぶ

「おらおら、どうした!あたしとタイマンするんじゃなかったのかよ!!勝負にもなってねぇじゃねぇかよ」


大鉈を地面へガツンと叩きつけ、アタシを睨む。

やっぱり強い……練度が違いすぎる。

さっきからずっとやられっぱなしだ。

でも、それがなんだ!


「てやぁぁ!!キラリンストレート!」


「遅えんだよ、ボケ。」


渾身の右ストレートを柳ちゃんに放つも、簡単にかわされ、脇腹に衝撃波をもらってしまった。

吹っ飛ばされ、地面へ転がるアタシ。


うぐ……ただでさえ強いのに衝撃波を出せるなんて反則だってば。


「おら、早く立てよ!」


「うぐっ……」


息を荒くして地面へ転がるアタシは、柳ちゃんに胸倉を掴まれ、持ち上げられる。


「言ったよな、若草。あんた、あたしに勝てるって。この状況のどこがそうなんだよ、あ"ぁ"!!」


「耳元で怒鳴んないでよ………ゲホッ……アタシにはまだとっておきの秘策が……ゲホッ…あるんだからさ、柳ちゃん。うぐっ!!」


言った瞬間、顔を殴られた。

痛ったぁ〜!さっきまでだったら、これで負けてたよ。柳ちゃん、力強すぎだって!


「何が秘策だよ!こんな、目貫通りのど真ん中でボコボコにされてる奴が何言ってんだよ、おい!……ほら、見ろよ。見物人で一杯だ、アンタの無様な姿を見にね。」


周りを見回せられると、確かに人がわんさかと立ち止まってこっちを見ている。

携帯で動画を撮ってる人とポツポツいるみたいだ。


よし………これなら!


「私は新人魔法少女 若草きらり!!どんな逆境でも人気魔法少女になるまで絶対諦めません!!!」


アタシは叫ぶ。叫べる限界まで、大声で。


「突然叫んでんじゃねぇ!!耳が痛ぇだろうが!!」


大声でアタシに叫ばれ、耳を痛めた柳ちゃんがアタシの胸倉を掴む手に更に力を入れ、また顔に殴りかかってきた。


今度は、それを片手で受け止める。

きた!が上手くいったみたいだ。


「はぁ?おい、どうなってんだ?」


突然、拳を受け止められたことに困惑する柳ちゃん。


「柳ちゃん、ここからアタシの反撃開始だよ!!」


お返しに柳ちゃんの顔をフルスイングで殴る。

これでおあいこだよ。

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