真泥三よどみはかなり強い

ぞろぞろ『クラッシュ』のメンバーが集まってくる。

総勢10人。すごいハンデだ。

でも……こんな難題くらい乗り越えられなくちゃ………キラキラできない!!!


「柳ちゃん、タイマンだよ!」


「あ"ぁ"?あんたが?わたしと?やっぱしバカだわ。勝てると思ってんの?」


正直言って、力の差は歴然だ。

でも、勝算はある。


「うん!アタシは勝てると思ってるよ、柳ちゃん!!」


「つくづくバカだわ、あんた。いいよ、タイマンしたげる。」


「ありがとう、柳ちゃん。あ、よどみさんは柳さん以外の9人はお願いね!」


「なんだよ、言ったそばから逃走かぁ!?ふざけんな!!」


この場をよどみさんへ任せると、アタシは攻撃すると見せかけて目抜き通りの方へ跳ぶと、柳ちゃんはイラつきながら大鉈を構えてアタシを追ってきた。

とりあえず狙い通りだ。さぁーて、頑張らなきゃね!!


ーーーーー〈よどみside〉ーーーーー


「はぁ、ほんと無茶言うなぁ。」


私は若草さんの無茶振りに溜息をつく。


「アンタもとんでもない仲間を持ったもんだね。」


最初に柳の右隣にいた、柳の右腕っぽい金髪マスクのいかにもヤンキー風の魔法少女が同情的な言葉を私へかける。


「ほんとだよ。」


「気の毒だけど、姉さんがアンタらと戦うって言ったからには悪いけどアタシら9人相手にして喧嘩してもらうよ。まぁ、運が悪かったと思いな。」


結構、このヤンキー風の見た目の彼女は良い人なのかもしれない。

倒しちゃうのはなんだか申し訳ないなぁ。


「お気遣いありがとう。でも、痛い目見るのはやだからちょっと頑張ろうかな。」


「お前ら、影に注意しろ!」


私は能力を使う素振りを見せると、右腕っぽい子の号令で、魔法少女たちは影から遠ざかる。


良い考えだね………まぁ、でも私の能力の真骨頂は影に引き摺り込むことじゃないんだけど。


「戦い終わったらゆってね。すぐそこのコンビニでアイスでも買って時間潰してくるから。」


「な、なんだこれ!ヴェイグリア!?」


影から先程呑み込んだ蟻に似たヴェイグリア、それとトカゲ型のヴェイグリア3体、あとデカめのミミズ型ヴェイグリアを出現させる。


私の能力の真骨頂、それは影に引き込んだものを自分のものとして自由に引っ張り出せる………まぁ、つまり影に引き込んだヴェイグリアを使役できるってことだ。


引っ張り出した五体のヴェイグリアと急遽戦闘になり、半ばパニック気味の『クラッシュ』のメンバーたちを尻目に私はコンビニへ入る。


おそらく、あの9人だと五体全てを倒せはしない。

一人、他のメンバーと頭三つ分ぐらい抜けた柳が入ればさっさと終わるだろうけど、若草さんがタイマンはるって言って連れてっていないしね。


ーーーーーーーーーー


コンビニでアイスとミルクティーを買い、会計を済ませて出てくると、大型のミミズ型ヴェイグリア以外は倒されてたものの、ミミズ型に負けたようで9人は地面に倒れて戦闘不能になっていた。


いやぁ、結構善戦したんだね。

そんなことを思いつつ、アイスを齧り、ミミズ型たち五体を影の中に引っ込める。


「く……くそ………こんな能力があるなんて、聞いてない………すみません、姉…さん………」


意識が途絶えそうになりながら、右腕っぽい子が私を睨みつつ、柳に負けたことをうわ言のように謝りながら気を失った。



まぁ……気の毒だけど運が悪かったと思ってね。


「お、当たった。もう一本アイス貰いに行こ。」

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