柳 来夏はキレやすい

「フレッシュナイト?聞いたことないけどさぁ、何にせよ、ここはわたしら『クラッシュ』のナワバリなんだけど………勝手に入って暴れられちゃあ困るってわけ。分かる?」


青髪の子は私の胸ぐらを掴み、声にドスを効かせる。


へ、へん!こんなんでビビっちゃう私じゃないんだから!


「そんなの知らないよ!てゆーか、名乗れっていうなら君から名乗りなよ!」


「あ"っ!?」


私の言葉に、青髪の子が強く睨む。

そんな視線に負けるもんか。じっと視線を目に向け続ける。


「チッ………柳。柳 来夏。わたしは名乗ったんだ、今度はあんたの番だよ。」


「アタシは若草きらり。あっちは真泥三よどみさん。よろしくね、柳ちゃん。」


そう言うと、更に強く睨まれた。

ヒェッ!!……びびりそう。


「ちゃんは余計なんだよ!……まあ、いい。あんたの根性は認めてあげる。このまま帰るんなら、こっちも何も文句言わないよ。早く帰りな。」


ちゃんづけに怒りながらも柳ちゃんは私の胸ぐらから手を離し、私に背を向ける。


今回、勝手にナワバリでヴェイグリアを狩ったことに対して目をつぶる、そう言うことだろう。

きっと柳さんの優しさだ。


でも………私はキラキラ輝く魔法少女になる、そのためには、ここで回れ右じゃだめだ!


「ごめん!悪いけど、帰れないよ。」


「は?あんた自分が何言ってるか分かってんの?」


「もちろん!!柳ちゃん、ここのナワバリは私たちが使う。」


拳の血管がビキビキと浮き出る。

怒ってるなぁ……でも、もう決めたことだ。


「あ"ぁ"!?わたしらからここ取ろうってわけ……はぁー、見上げた根性だわ。ホントによぉ!!」


「違うよ。柳ちゃんたちには私たちと仲間になってもらいたいの、つまり提携だね。」


私の言葉に柳ちゃんは笑い出した。

もしかしてオッケーってこと?


「あんた、根性あるんじゃなくてただのバカだわ!筋金入りのね!!」


マジギレした声で柳ちゃんは大鉈を私目掛けて思い切り振り下ろす。

うそっ!ヤバっ!


「はぁ……後先考えなよ。」


「さっすが、よどみさん!頼りになる!」


鉈の一閃をギリギリ、影から飛び出した腕に引っ張ってもらって避ける。


「『クラッシュ』全員集まりな!!若草きらり、真泥三よどみ、このバカ2人を叩きのめすよ!!」


「ちょっと、私まで一緒にバカ扱いされてんじゃん」


ここで勝って、絶対仲間になってもらうよ、柳ちゃん!!

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