EPISODE2 『たくさんの色の奥、光り輝く色が見えます』
「じゃ、ボクから見ましょうか」
ショッカクが重たいといったソレですが、ショッカクはそういうのを感じやすいタイプなので重たくて持てなかったのでしょう。ボクがソレを抱えると、確かに重量はソレにしたら感じられるものの、持てないというほどではありませんでした。
意識をソレに集中させて、じーっとソレを見つめます。ソレはとても複雑な色をしていました。
「なんでしょう、色々な色が混ざっていますね……」
最初に見えたのは濃い目のグレー、に感じられました。でも次に見えたのは、深めの緑、黄色、そして赤。他にも紫や青色なんかも感じられます。共通しているのはどれも“かなり深めの色”っていうことでした。
「ん?」
そのままじーっと見ていると、本当に奥の奥、微かに光り輝いている薄桃色が見えました。その色がとてもきれいで、ボクは黙ったまましばらくソレを見つめていました。
「おい、シカク。どうなんだよ」
チョウカクの声で引き戻されて、慌てて答えます。
「かなり濃いグレー、それに深めの緑、黄色、赤、紫や青色……。たくさんの色の奥に、微かにですがきれいに光り輝く薄桃色が見えます」
「へぇー。だいぶ複雑そうだねー……。シカクー、次ボクに少しちょうだーい」
そう言ってボクの方へ両手を伸ばしてきたミカクの腕に、少しだけソレを分けました。
「ありがとう。いただきまぁす」
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