EPISODE1 『重たくて持ち上がらないんだけど!』
――……これは、フゥロがボクらの所に来る、少し前のお話し。
「ちょっとだけみんなにお願いがあって、さ……」
珍しいことにアノコからボクらにお願いがあるという。なんだろうと思って話を聞くと。
「ボクの家の整理、手伝ってくれないかなー……なんて……」
聞けば落ちてくるソレを管理するのは良いものの、最近は家の中がごちゃごちゃになってきてしまったんだとか。アノコの話を聞いたチョウカクは呆れ顔だった。
「全部取っておこうとするからじゃねぇの」
チョウカクのいうことは一理ある。もし本当にできるのなら、だけど、アノコは少し思い切って、断捨離をした方が良いのかもしれない。
「う~ん……、でもどうしても保管だけはしておきたくて」
そうアノコが言う。それを聞いてボクは『やっぱりな……』と思った。ソレの管理に関しては、アノコは結構頑固だ。
「……仕方ないですね、みんなで手伝えばすぐに終わるでしょうし。ボクはお手伝いしますよ」
シカクが言うと、ミカクもそれに乗る。
「そうだねー、落ちてくるソレを管理できるのはアノコだけだし、ボクもそれくらいお手伝いするよー」
「オレも手伝います。ショッカクさんとチョウカクさんはどうします?」
キュウカクのその言葉には、ボクが先に答えた。
「ボクも手伝うよ」
「……んだよ。わかったよ、オレも手伝うよ」
そうしてボクらはアノコの家の整理をしに、アノコの家へと向かうことになった。
「お、これ、新しく落ちてきたソレじゃない?」
アノコの家に行く道中、目の前にはソレが落ちていた。先頭を歩いていたボクが後ろのみんなを振り返りながら確認する。今日はラッキーかもしれない。みんなが揃っているところに落ちているから。
「あー、確かに。まだ見ていないやつかもしれない」
アノコが言った。アノコが言うなら何となく、だけど絶対にそうだと思う。
「じゃ、見てみるか!」
そう言ってボクがソレを持ち上げようとしたんだけど――……
「……おも……たいっ……!」
全然持ち上がらないし、びくともしない。大きさはバスケットボールくらいなんだけど、なんでこんなに重たいんだ……!
「熱いとか、冷たいとかは特に感じないし、トゲトゲしてるとかも無いんだけど、何よりこれは重たすぎる……!」
「はぁ? 大げさじゃねぇの?」
チョウカクが疑いの眼差しを向けてくる。
「大げさじゃない、本当に重いんだって!」
「まぁまぁ、二人とも。落ち着いて」
アノコに諭されてチョウカクと二人、黙り込む。
「お願い、みんな。いつもみたいにこれがどう感じるか、ボクに教えてほしいんだ」
アノコがみんなに頼む。みんなはお互いの顔を見合って、それからアノコの方に視線を向けると『わかりました』『良いよー』『アノコさんが言うなら、もちろんです』『……仕方ねぇな』とバラバラな返事を返した。
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