1話目―― 天陽白花
さて。居を移してから、三日目の深夜のことだった。
床に就いた私は、しかし妙に目が冴えていて、
そうだ。
「ゴトリ」
背後の仏間で、何かが落ちる音がした。あれは何か。畳の上で、
私は
すると万年床の傍に、
ここに、信仰心の薄い
君も役目を終えた
私は
手から落ちた天が、てん、ころ、りんと畳を跳ね、
何だ。何事だ。
さて。あまりのことに恐々とながらも、目を慣らしながら、目をひらけてゆく他はない。
驚くかな、其れは白い
太陽のように白く輝く、一輪の花である。
輪郭は
不気味か? 虫酸が走るか? 否、恍惚だろう。
まっこと美しい、と私はすり寄りながら思うた。
傍まで
困った。この調子では
と、感動もへったくれもない、己の希薄さを嫌いたい。
ただ現に、この花は予想したとおり夜を徹して輝いていたし、幾ら酒に酔おうが背を向けて横になろうが私は眠ることすら意に叶わず、またもや起きあがって半ば恐喝まがいに怒鳴りつけてみたり、或いは取引を交渉するように相談しても尚、花は輝きをやめなかった。そうだな。ここに、私は深酒を認めよう。
煌々とする花を鎮める為、私は
しかし、次に門戸を叩く音に驚いて、私は早々に目を覚ました。
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