第19話 筋肉が笑っている
昔々あるところに頭の筋肉を発達させ強靭な顎を持つ、めちゃめちゃまっそーがおりました。なんとその強靭な顎の力によって自分の5倍の重さのモノを軽々と持てました。
70kgの体重なら、350kgのモノを顎だけで持てる計算です。2人いれば軽トラが持てる程の怪力です。
めちゃめちゃまっそーなのはお分かりでしょう。
そのまっそー達は徒党を組み、夏の暑い時期にせっせと働いて冬に向けての
中には熱中症で倒れるモノもいたかもしれません。
中には脱水症状を起こすモノもいたかもしれません。
そしてその生命を燃やし尽くしたモノもいたかもしれません。
ですが、恐れと疲れを知らず、自分の生命すらも顧みず、退かぬ媚びぬ顧みぬの精神でひたすらに働いておりました。
今で言えば完全なブラックですが、それは夏の炎天下での作業なので身体の色と同化して気にならなくなりました。
そんなめちゃめちゃまっそーに対して、夏の炎天下の中でひたすらバイオリンを弾くだけのモノもおりました。ひたすらに頭を振って身体を揺さぶり情熱的な大陸を弾いていたのです。
当然の事ながら、めちゃめちゃまっそーブラック軍団は、その様子をただ白い目で見ておりました。黒い身体だから白い目はよく映えました。
そんな暑い暑い夏は来る日も来る日も過ぎていきます。
気付けば8月は過ぎ、暑さが落ち着いて欲しい9月になっても暑く、10月になってもまだ暑い年でした。そして、やって来ました11月。
突然に冷え込み、めちゃめちゃまっそー達は食料集めをやめて、巣籠もりの準備を始めた頃になってから、バイオリン弾きはめちゃめちゃまっそーブラック軍団に助けを乞いました。
「寒い、寒過ぎる。食べ物と何か身体が温まるモノを、恵んで欲しい」
「HA-HA-HA、夏の間に
そう言って渡されたのは一本の
バイオリン弾きはそれからプロテインバーを食べ、ダンベルで身体を鍛えて厳しい冬を乗り越えました。
翌年の春になるとバイオリンは壊れてしまいました。筋トレの効果があり過ぎて弦が切れ、弓が折れてしまったのです。
音を奏でられなくなったので、本業を辞めバイオリンとのコンビを解消しバイオリン弾きは俳優になりました。
それが2016年頃でした。
めでたしめでたし。
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