第14話 筋肉が飛翔ぶ

 昔々あるところに、めっちゃマッチョな亀がおりました。

 それはそれはなんと、腹筋が12コに割れている程の腹筋だけマッチョな亀でした。

 亀は日頃から筋トレに励んでおり、その結果腹筋が12コになったワケですが、筋肉量が増えるにつれて体重もみるみるうちに増加していきました。


 一方で脚だけめっちゃマッチョな兎もおりました。

 それはもう、レッグプレスで120kgが余裕なくらいに脚だけマッチョだったのです。ですが、脚だけマッチョなので体重はそこまてでもありません。

 しかし全力で走ると上半身が置いていかれる現象が発生していました。


 そんなアンバランスな2人は競走するコトになりましたとさ。



「よし亀くん、あの山のてっぺんまで登りきった方が勝ちだよ!」


「分かったよ、兎くん」


 2人は山のてっぺん目指して持久走を開始しました。



「サラ未勝利戦第10競走各選手ゲートイン完了しました」


がしゃん


「さぁ一斉にスタート。先行争いは先ず兎くん、走る走るおっと大逃げだぁ!」

「続いて二番手に亀くんですが、これは遅い。走る気が微塵も感じられない」

「おっと、スタート地点後方から犬に猿、キジも亀くんを抜かしていったぁ!さらに後ろから来たのは桃でしょうか?おっと、ここでアクシデント、遅過ぎた亀くんに後ろから来た桃が接触し亀くん山の方へと弾き飛ばされたぁ」

「審議の青ランプが点灯していますが、レースは続行のようです」



「さてここで先頭を見てみましょう!おや?大逃げをした兎くん、寝ています!スタミナ切れでしょうか?そして、先程弾き飛ばされた亀くんが火を吹き回転しながら空を飛んでいきます!」

「下から見るとダブルシックスパックがそれぞれ円を描いているようです」


「おっとここで目を覚ました兎くん、空飛ぶ亀くんを必死に追い掛ける!」

「ラスト直線の叩き合い、空の彼方に最後の軌跡、勝つのはどっちだ!?」


「えー、写真判定の結果ですが、火を吹いていた亀くんの炎が先にゴールをした模様です」


 こうして持久走は決着したかに見えたが、審議の青ランプは点灯したままだった。


 結局の所、審議は荒れに荒れた事から無効レースになってしまい、投票券はそのまま変換される事になりましたとさ。



 2人はそれぞれ各々健闘を讃え合い、亀くんは脚も鍛える事にして、兎くんは腹筋を鍛えることにしました。

 そして再戦を固く約束しそれぞれ筋トレに励む毎日をおくりましたとさ。




めでたしめでたし。

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