短編の学園ミステリーです。感想になりますが、学校という箱のようなものの中には、人を追い詰めるような心理も多数存在する、ということを改めて考えさせられました。この作品では、「事件」が実際に起こりますが、身近な人の、爆発しそうな感情というものに気づかずに通り過ぎたことがあったのかもしれないと、そういうことを思い返すことができました。人の感情に靄をかけず、あえてはっきりと見えるように描かれているように感じられました。
教室で、事件が起きた。その犯人は、誰なのか。何故、そんなことをしたのか。あなたには、そのサインを見抜くことができるだろうか――。教室という世界の殺伐さややるせなさを感じさせつつ、そういう世界においても、そのサインは見えてくる――そんな話です。短くも、激しく、そして美しい話だと思います。ぜひ、ご一読を。
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