第4話 幽霊?
「ちょっと沙織、さっきの何?」
少し青ざめた表情の由里を見て私は爆笑する。
「なにあんたまで怖がってんのよ。あんなの嘘よ、嘘」
「嘘? 何でまたあんな嘘なんかついたの?」
「わかんないかなぁ。あれで絶対私の顔覚えてもらえたじゃん」
由里は本当に鈍い。でも私の作戦を聞いてようやく納得したみたいだ。
「なるほど。まぁ印象には残っただろうね。でもさ……」
と、その時公園内にアナウンスが流れた。
――倉竹女子高等学校の二階堂沙織様、落とし物を預かっています。お化け屋敷入口までおいでください。
「来た来た! ほら行くよ、由里」
どうやら作戦は成功したようだ。満面の笑みでお化け屋敷に向かおうとする私の袖を由里が引く。
「うん、行くけど。でも最後に言ってたのって……」
「さっきから何よ、でもでもって」
眉間に皺を寄せる私を見て由里は口ごもる。二度目のアナウンスが場内に流れた。早くお化け屋敷に戻らなきゃ。もうひとりで行ってしまおうか、そう考えた時ようやく由里がおずおずと口を開いた。
「いや、あの幽霊の特徴って」
私は小さく舌打ちする。
「ああ、
――もう死んでるんだから。
そう心の中で付け加えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます