第11話

「彩佳、来るのは良いけどせめて連絡はしてくれ」

「ういー」


突然家に来て買い物に付き合ってもらうとか言い出した彩佳にそう言うが全く聞く耳を持たない。


「幸弥くん、準備できましたよ」

「雪華さん可愛いですよ」

「ふふ、ありがとうございます。幸弥くんも今日はいつもよりお洒落しててカッコイイですよ」

「いえいえそんなことないですよ、でもありがとうございます」


彩佳の前だということを忘れ少し濃厚で激しいキスをする。


「んっ……おはようのキスが優しい感じだったのでちょっと激しめです」


そう言って微笑む雪華さんが可愛くてもう一度キスをする。


「うわ、妹の前でキスしてやがる。私も彼氏欲しいなぁ」

「…!そう言えば彩佳いたんだった」

「もっと見せつけましょう?」


雪華さんは彩佳がいるのを知った上で俺をリビングのソファーに押し倒した。


「ダメですよ、んっ……ぷはっ」

「分かってますけど一回だけ、ん……はっ。やっぱり幸弥くんとのキスは気持ちいいね、それじゃあ行きましょう!」


俺のこの感情の高ぶりはどうすれば良いんですか。



◇◇◇



「どこに行ってるんですかね彩佳さんよ」

「え?ダンキ・ホーテだけど」


俺は今彩佳と雪華さんの3人で君嶋家の使用人である鷹爺(たかじい)の車に乗っていた。

普段通らない道を通っていたため俺は彩佳に行き先を聞いたんだが、ダンキ・ホーテかいっ!

ダンキ・ホーテは最近、近くにできた大きめのショピングセンターなんだが、ほんの1週間前に来たんだよな。


「鷹爺あと何分くらい?」

「あと4分ほどでございます。というか彩佳様シートベルトをちゃんと付けてくださいな、わたくしが捕まってしまいます」

「えっ?それはダメ!」


なら最初から付けとけよ。とは言わず心のなかに潜めておく。


「んで、ダンキで何、買いたいんだ?」

「ん?服だよ。あ、幸弥兄もちゃんとついて来てね」


やめてくれ。

俺にお前の買い物に付き合ってやれるほどの忍耐力はないんだ。

ましては服。

絶対長いやつじゃねえかよ。

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