EP,4 目標
銃声、銃声、銃声。
破裂音が脳を震わせる。そこには憎悪がこもっていた……確実に。
銃弾がなくなったのだろうか、サブマシンガンを操作している。その時にキャプテンが鎮圧し、確保した。
「落ち着け、何があったか話してみろ」
「てめぇら船乗りに話すことはねぇ!」
「キャプテン! 鎮静剤!」
投げた注射器を受け取ったキャプテンが首元に注射器を打つ。すると体から力が抜け、眠るように静かになる。
「とりあえず部屋で拘束だな」
椅子に座らせ、手足を拘束する。そしてルークがまた注射器をその男に打ち込む。すると目が覚め、暴れようとするが、椅子に縛り付けられていたため、椅子が倒れる。
「落ち着いてください」
「ああ?」
「あなたは僕たちをなんで襲ったのですか?」
「はぁ? おまえら自分でやっておいてよくそんなこと言えるなぁ?」
「えっとぉ……僕らはその何をしたんですか?」
「あ!? 俺たちの村をドローンで爆撃してきたろ!」
ドローン?
「それって、どんなドローンだった?」
「あ? なんだよ女」
「いいから教えて!」
「お、オウ。あ~何っつーか黒い……鳥?」
あれだ、私たちが襲われたあの黒い鯨から出てくる無人機
「それ、私たちなら墜とせる」
「は?」
「だから、私たちなら、あんたらの無念を晴らせる」
「あんたらじゃないのか?」
「違う、どっちかというと私たちも被害者」
「そうか……なんかわからんが、あんたはなんだか信頼できる。すまない、俺も頭に血が昇っていた。これをほどいてくれ。銃はあんたらのとこにあるし、俺は何もできん」
「わかった」
キャプテンがそう呟くと縄をほどく。
「それで、そのドローンがどこから現れたかわかるの?」
「ああ、黒い……そう、あれは鯨だ。本でしか見たことないが。まさしく」
鯨。やっぱり。
「じゃあ次。なんであなたは生き延びた?」
「いや、あいつらが破壊したのは、発電設備と住居だけだ、人間自体には危害は加えてこない」
「その発電設備は、どんなものなの?」
「あ~俺は専門知識がないから詳しいことは分からんが……グラファリアクターを利用した発電設備とか何とか言ってた」
グラファ。私たちの船もそうだ。グラファリアクタを狙ってる?
グラファリアクタは通常、飛行船や車、列車なんかに使われる。このグラファリアクターは超小型の小型原子炉だ。小さな体からは考えられないほどのパワーでエネルギーを作れる。しかし、発熱しやすく、排熱しにくいという原子炉としてはかなり致命的な欠点がある。
そんなピーキーな性能をしているこのグラファリアクターを使い続けるのには理由がある。簡単だ、安い材料で簡単に作れる。つまり大量生産が可能なのだ。それでいてこのリアクターは安全性が立証されているが、1年に1度交換することが新世界政府によって義務つけられている。
「グラファリアクタが狙われてるなら結構危ないかも」
「そのリアクターがなんで危ないの?」
「ふつうに原子炉だし、いろんなところで使われてるから、いろんな都市が狙われかねない」
「なるほど……わかった。いったん目標を黒い鯨の撃破とする」
「「「アイアイキャプテン!」」」
飛行船の姫 里芋の悲劇 @satoimonohigeki
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