貿易都市

 ・カグヅチ:客足の少ない凄腕鍛冶師。

 セレスティアが貿易都市で知り会った、工業区画で鍛冶屋を営む鬼人の鍛冶師。

 2メートル近い長身で、服を着ていても筋肉の割れ目がハッキリ浮き出るほど筋骨隆々な身体、きらりと光るスキンヘッドからは、反り返るように生える立派な二本の角がその存在感を大きく主張している。

 東の島から貿易都市にやって来て商売を始める。鍛冶師としての腕は超一流だが、種族の風評被害の影響が大きく客足が伸びず、良い素材を仕入れられないのが悩みの種。

 人を見る目が優れており、セレスティアの言動を一目見て「只者ではないが、面白そうな人」と評価し、それが話しかける切っ掛けとなった。

 その後セレスティアと手を組むことになり、セレスティアから貰った素材で新しい武具を作ったり、魔石を新しい素材に加工する方法を模索したりしている。

 カグヅチは鬼人だけが使える"鬼闘術"、それも極稀にしか使い手が現れない"真・鬼闘術"の使い手である。

 八柱の一人であるイワンとは旧知の仲で、イワンの武具は全てカグヅチが作ったオーダーメイドの一品である。




 ・イワン:陽炎のイワン。

 貿易都市経営組織のトップ“八柱オクタラムナ”の一人で、貿易都市警備隊の総隊長も務める老人。

 白髪で顔にはいくつも皺が走っているが、貿易都市の紋章が描かれた白銀の鎧と、腰の左右にぶら下げた二本の刀を装備して漂わせるオーラは達人のそれで、まさに老将と称するに相応しい。

 八柱の間では“陽炎”の称号で呼ばれている。刀を振るう際に刀身が陽炎のごとくゆらりと揺れ、認識を狂わせる様から、その称号が付けられた。

 鬼人鍛冶師のカグヅチとは旧知の間柄で、よくカグヅチの店に遊びに行っては武具のメンテナンスを頼んで、雑談に花を咲かせている。




 ・メール:智星のメール。

 貿易都市経営組織のトップ“八柱オクタラムナ”の一人で、労働組合職員の女性。

 大きな丸渕眼鏡と頭の後ろで三つ編みにした背中まで伸びる長い金髪、歩く度に上下に揺れる豊かな胸が特徴的な女性。語尾を伸ばすとてもおっとりした口調だが、それとは裏腹に頭の回転は早い。

 普段は労働組合の一職員として働いており、その魅力的な容姿から男性のファンが多数いて、いつもメールと話す機会を伺っている。

 メールは人から進化した“仙人”と言う種族で、年齢は200歳を超えている。

 貿易都市創立の初期メンバーの一人で、八柱最古参の一人。同じ八柱の『メルキー・ブロキュオン』とは親友関係にある。

 ユノとは友人の間柄で、仕事の合間を見つけてはユノの話し相手になっていた。

 貿易都市で偽名を使って活動するセレスティアと出会い、セレスティアの正体を確かめようと調査を進めていたが、背後にマイン公爵がいることが分かり調査は中断せざるをえなかった。最近は行方をくらませたユノを心配している。




 ・ベル:見通しのベル。

 貿易都市経営組織のトップ“八柱オクタラムナ”の一人で、普段は中央塔の案内所で働くベテラン受付嬢の女性。

 黒髪のストレートヘアーに吊り上がった目が特徴的だが、眼つきの悪さとは裏腹に誰とでも気兼ねなく話せる性格で仕事も完璧にこなせるので、周りや後輩達からの信頼はとても厚い。

 会話した相手の心を覗く事の出来る“魔眼”の持ち主で、ベルと一度でも言葉を交わせば最後、隠し事など不可能である。

 ミューダ特製のローブでベルの魔眼を防いだセレスティアを危険視し、八柱全員でセレスティア(ミーティア)の監視をする事になった。




 ・ツキカゲ:隠者のツキカゲ。

 貿易都市経営組織のトップ“八柱オクタラムナ”の一人で、常に真っ黒の大きいローブで全身を隠していて素顔を窺う事が出来ない男性。

 その真の姿は、夜空の星の様な銀色の短髪と尖った耳を持つ狐獣人である。

 影を自在に操ったり、影の中に身を潜めることが出来る能力を持っていて、その能力を活かした情報収集、監視、諜報活動、暗殺を得意としている。イワンが貿易都市の表の守護者としたなら、裏の守護者がツキカゲである。

 食堂『ミニ』を経営するヨウコウは実の姉で、普段ツキカゲはそこで料理長をしている。




 ・ゼウェン:第5代商人組合・組合長。

 管理棟4長の一人で、商人組合の組合長。

 裕福な商人らしい小太りの体型に、人中に控えめに生えているちょび髭が特徴的な男性。貿易都市全ての商権を管理しており、貿易都市の財政の実質の責任者である。

 自分の仕事に誇りと責任を持っている根っからの仕事人間で、どうしても手が回らない時を除き、商人組合の重要な仕事は秘書のウェンドリンガー以外に頼ることをしない。

 ゼウェンは既に50歳を過ぎているおじさんで、最近では仕事の傍ら自分の後継者になれる逸材を探しているが、中々見つけることが出来ずにいる。

 同じ4長である労働組合・組合長の“セヴェン”とは名前が似ていることから意気投合し、今では気が合う飲み友達である。




 ・ウェンドリンガー:無表情の鉄仮面。

 商人組合・組合長であるゼウェンの秘書を務める男性。

 仮面を顔に張り付けたかのように感情を感じさせない眉一つ動かない表情、細い眼差しと整った顔立ちからは冷徹さが漂い、それが背の高いスラリとした体型と合わさることで、その姿は見る者を怖気させる悪魔的な容姿と変貌している。しかしその正体は、ただ表情筋が硬く、寡黙で口数が少ないだけの至って普通の男である。

 仕事はキッチリ正確にするタイプで、そんな仕事ぶりをゼウェンに気に入られ、ゼウェンの秘書に任命されることになった。

 普段はゼウェンの執務室でゼウェンの仕事の邪魔をしないように気配を消しながら、機械のように黙々と仕事をこなしている。




 ・シモン:死して尚、愛馬と共に彷徨う幽霊。

 セレスティアが貿易都市で購入した拠点となる家に住まう地縛霊。

 生前はブロキュオン帝国軍の騎兵だが、戦争で負った傷が元で戦線復帰が出来なくなり軍馬の調教師となった。その後、馬小屋の火事で愛馬のチェリーを助けに行き、チェリーと共に命を落とす。

 幽霊となってからはチェリーと共に夜な夜な馬小屋跡を走り回ったが、満足することができなかった。

 残った力も僅かとなり満足いかないまま消えるはずだったところを、セレスティアとミューダによって救われた。

 新しい体を貰ってからは、セレスティアに忠誠を約束して家の警備を任される。今では新しい人生?をチェリーと共に謳歌している。

 因みに、エイラードはシモンの子孫にあたる。




 ・チェリー:死して尚、主人と共に彷徨う幽霊。

 セレスティアが貿易都市で購入した拠点となる家に住まう地縛霊の馬。

 生前はシモンと共に戦場を駆ける軍馬であったが、シモンが負傷してからは戦場に出ることなく馬小屋生活となった。というのも、チェリーがシモン以外を乗せようとしなかったためだ。

 その後、訓練中に脚を負傷して療養したが、馬小屋の火事に巻き込まれ、助けに来たシモンと共に命を落とす。

 シモンと共に幽霊になり、シモンを乗せて夜な夜な馬小屋跡を駆け回ったが満足することができなかった。

 残った力も僅かとなり満足いかないまま消えるはずだったところを、セレスティアとミューダによって救われた。

 新しい体を貰ってからは、シモンと共に家の警備を任され、新しい馬生?をシモンと共に謳歌している。




 ・エイラード:老舗不動産のオーナー。

 手入れのされていないボサボサの白髪と皺だらけの顔に丸眼鏡をかけている、貿易都市で不動産を営む老人。

 昔ながらの丸太造りの一階建ての店舗だが、東の居住区画全体の物件の管理を貿易都市から任されているので、見た目以上に大きい店である。

 セレスティアが購入した家に出没する『シモン』という幽霊は、エイラードのご先祖にあたる。

 エイラードは先祖の幽霊が現れる物件を商売上売りに出してはいるが、内心では先祖の霊が成仏するまで誰にも売りたくなく、何かと言って売らない様にしていた。

 しかしセレスティアが「ここがいい」と粘ったことで、エイラードは渋々ながらもセレスティアに家を売ることになった。

 後にセレスティアが肉体を与えたシモンを見て、エイラードはセレスティアに心から「家を大事にしてくれ」と頼み込んだ。




 ・ヨウコウ:無限増殖のウェイトレス。

 貿易都市東門広場の近くにある、食堂『ミニ』のオーナー兼ウェイトレス。

 黄金色の髪、それと同色の先の尖った耳とふかふかの尻尾を持つ狐獣人の女性。

 狐獣人が使える『幻影』を独自改良した『分身』により、自身の分身をいくらでも作り出すその能力を持つ。その能力を活かして店を経営をしている。

 その為、食堂『ミニ』にはヨウコウとヨウコウの弟で料理長のツキカゲの二人しか従業員がいない。

 ヨウコウの明るく可愛い振る舞いと、ツキカゲの作る美味しい料理のおかげで、食堂『ミニ』のリピーター数は多い。

 接客業で培った高い推察力で客から情報を集め、それをツキカゲに提供している。




 ・フロン:青い流星群の紅一点。

 ニーナが指揮する『都市全体を清掃する専門の部署』の第4部隊、通称“青い流星群”の副リーダー。

 20代後半の女性で、ニーナを慕う美化清掃員。

 美化清掃員としては珍しく犯罪歴の無い一般市民で、自ら進んで不人気のこの仕事に志望した。

 ニーナとは同期だったが、メキメキ活躍するニーナに惹かれて、ニーナの補佐をし始めた。




 ・グラン&ドーファ&ザース:落書き犯。

 貿易都市北側の『工業区画』にあるアトリエで芸術家をしている、仲良しアーティストじいさん達。

 アトリエで作った作品を売ったり、時たま芸術教室などを開いて生計を立てていたが、売り上げ不振と生徒数減少が重なり生活が厳しくなる。

 その状況を打開するために、建物に落書きをして自分達の芸術を宣伝しようとしたが、ニーナに捕まり敢え無く御用となった。

 しかし貿易都市の上層部が彼等の芸術に価値を見出したことで、特別に条件付きの釈放となった。

 彼等が公共施設に彩る芸術は今も増え続け、ニーナの悩みの種となっている。




 ・リジェン:先輩風を吹かせない先輩。

 サムスが管理棟雑務員の仕事を始めた時に、サムスの教育係を任された先輩。

 上下関係を意識しない性格の為、すぐにサムスと仲良くなった。

 今はサムスの方が立場が上になったが、特に関係が変わることは無かった。今ではサムスの良き理解者で、良き友人である。




 ・ラセツ:立ちはだかる威圧感。

 管理棟4長の一人で、ハンター組合の組合長を務める“巨人族”の男性。

 元Sランクハンターで名を馳せていたが、現役を引退して組合長となった。

 身長3メートルを越える圧倒的体格と、山のように盛り上がる重装甲のように頑丈な筋肉を持つ。そんな巨体から放たれる鉄拳は『岩をも塵に変える』と言われ、ハンター達から畏怖と敬意の念を集めている。




 ・タイラー:Sランクウェポンマスター。

 頭の左右から下方へ向かい、先端が外側上方に向かって生える太い角を持つ牛獣人。

 身長220センチの長身で無駄なく鍛え上げられたガッシリした肉体は強者の証。

 卓越した戦闘センスの持ち主で、近距離・遠距離関係なくあらゆる武器を使いこなせる万能アタッカー。

 ティナ達三つ子の父親で、ムゥの夫。

 親子ハンターパーティー『ティラミス』のリーダーで、ハンターランクは最高位のSランク。

 ハンター組合・組合長のラセツとは昔馴染みで、今でもよく二人で飲み明かしたりしている。




 ・ムゥ:Sランク魔術師。

 身長182センチの女性としては背が高く、母性的な魅力が溢れる長耳族の女性。

 魔術師としての才能はハンターの中でもトップクラスで、五つの魔術を同時に発動できるという近年稀にみる天才魔術師。

 ティナ達三つ子の母親で、タイラーの妻。

 親子ハンターパーティー『ティラミス』の副リーダーで、ハンターランク最高位のSランク。

 ハンター組合・組合長のラセツとは昔馴染み。




 ・ティナ:母に憧れる天才の血を引いた魔術師。

 タイラーとムゥの娘で、三つ子の長女。

 母親の血と才能を最も強く受け継いでおり、三つの魔術を同時発動できる高い実力を持つ魔術師。最近頭角を現してきた見た目の年齢が同じ魔術師のティンクをライバル視しており、よく勝負を挑んでいるが今のところ全敗している。

 長女なのに性格が子供っぽく泣きやすいため、妹の二人からは『残念な姉』という烙印を押されている。

 親子ハンターパーティー『ティラミス』の一員で、ハンターランクはAランク。



 ・ラミア:父親譲りの剛勇な若き戦士。

 タイラーとムゥの娘で、三つ子の次女。

 父親の血と才能を最も強く受け継いでおり、父親とそっくりな角と屈強な肉体が自慢の戦士。近接武器の使い手で、パワーにものをいわせた接近戦を得意としている。基本的にどんな武器でも使いこなせるが、愛用の武器はハルバードである。

 性格は大雑把で、思った事を口に出すタイプ。よく妹のスイと共に、姉のティナを悪気の無い一言でからかっては泣かせている。

 親子ハンターパーティー『ティラミス』の一員で、ハンターランクはAランクハンター。




 ・スイ:寡黙なハイブリットスナイパー。

 タイラーとムゥの娘で、三つ子の三女。

 父親と母親の血を均等に受け継いでおり、髪の毛に隠れる程の小さい角と、先が外に小さく突き出たような形の耳が特徴。メイン武器が弓のスナイパーで、弓矢は魔力を具現化した物を使っている。そのため、魔力が尽きない限り弓を放ち続ける事が出来る。

 また、魔力で視力を強化しており、パーティーの索敵役もこなしている。超視力を活かした遠距離攻撃の命中精度は、驚異の98パーセントを誇る。

 親子ハンターパーティー『ティラミス』の一員で、ハンターランクはAランクハンター。




 ・白い閃光:両手に花のハンターパーティー。

 貿易都市を中心に活動しているCランクのハンターパーティー。

 明るい男性がパーティーリーダーのライト。真面目そうな女性がサン。陽気な猫獣人の女性がシャン。

 食堂『ミニ』の常連客で、依頼を終えて貿易都市に帰って来る度に『ミニ』に立ち寄り、ヨウコウに依頼の話やその時の自分たちの活躍を自慢している。




 ・ヴァルカン:ヴァルカン工房の工房主。

 貿易都市の二大工房と呼ばれる内の一つ、『ヴァルカン工房』の工房主をしている男性。

 鍛冶師らしくない筋肉の少ない細身の身体つきをしているが、それはヴァルカンが商売優先思考の経営者で、一度も鉄を打ったことのない鍛冶師とは名ばかりの人物だからである。

 貿易都市の全ての鍛冶工房が協力連携する『大工房計画』には、始めは渋りこそしたものの参加を表明した。

 大工房『ミーティアの工房』では、在庫管理や経費管理をする経理を担当することになった。




 ・アルベリヒ:アルベリヒ工房の工房主。

 貿易都市の二大工房と呼ばれる内の一つ、『アルベリヒ工房』の工房主をしている男性。

 小柄で丸い体型をしているが、それは鍛え上げられた筋肉が膨れ上がった結果のものであり、小柄な体格とは裏腹の力強さを感じさせる雰囲気を纏っている。

 貿易都市の全ての鍛冶工房が協力連携する『大工房計画』には、セレスティアが提供する素材を一目見て参加を即決した。

 大工房『ミーティアの工房』では、工房内で鍛冶師達の指揮や育成を担当する現場監督を担当することになった。

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