プアボム公国

 ・オリヴィエ・マイン:四大公最古参貴族家の一角。

 プアボム公国西側の一帯を領土とするマイン公爵家の現当主。

 幼少の頃から体を動かうことが好きで、ヴァンザルデンから様々な武術を教わり肉体を鍛えていた。その結果、歴戦の格闘家の様な屈強な身体つきになってしまうが、その戦闘能力は見た目以上に高く、ヴァンザルデンも太鼓判を押すほどである。

 父親が早くに他界したため、若干15歳という若さでマイン公爵家の当主となった。武術以外に当主としての才能もあり、当主となってすぐからその手腕を発揮する。しかし、長い時間じっとしていることが苦手なので、いつも公務の隙を見つけてはトレーニングをして側近たちを困らせている。

 見た目より実用性を重視する性格で、普段は貴族らしくない動きやすいラフな格好をしている。しかし公の場では、公爵家の当主らしい豪華な貴族服を着用している。……似合うかどうかは別問題であるが。




 ・エイミー:大家族の大黒柱。

 マイン公爵の専属侍女として働く薄い水色の髪色をした女性。

 高めの身長と不釣り合いな幼さが残る顔が何処か可愛らしい18歳。マイン領北部の辺境にあるノルド村出身。両親と弟8人と妹6人、計17人の大家族の長女。

 家族達を養う為に首都マインへ出稼ぎに出たが、途中で道に迷い倒れてしまう。そこをたまたま通りかかったマイン公爵に拾われ、マイン公爵の専属侍女となった。

 その後に起きた魔獣事件がきっかけで、セレスティアの屋敷で働く事となる。

『淵緑の魔女』として恐れられるセレスティアの元で働くことを最初は渋っていたが、「引き受けてくれたら、私の元で働く倍の給料を払う」と言われた瞬間、引き受けることを即決した。




 ・ヴァンザルデン:プアボム公国最強の元帥。

 肉食獣の様な鋭い眼光に大きな体躯、口元を覆う剛毛の髭、圧倒的な存在感とは対照的な小さな丸耳が特徴の獣人。マイン領主軍最高司令官の元帥で、マイン公爵の武術の師匠。

 異様に優れた直感で戦況を瞬時に把握し、正確に軍団を指揮する有能な指揮官でありながら、数々の武勇伝を残せる程の高い戦闘能力で戦場を駆ける勇猛果敢な戦士でもある。

 身の丈程の大きさもある愛用の大剣を軽々と振るい、戦場を駆けるその姿はまさに“鬼神”であり、プアボム公国最強の名を欲しいままにしている。




 ・カールステン:マイン領主軍の知恵袋。

 マイン領主軍の参謀長で、ヴァンザルデンの右腕。流れるように肩まで伸びるライトグリーン色の髪に、知的な印象を抱かせる落ち着いた顔立ちの青年。

 ドリュアスという植物と心を通わせることのできる珍しい種族で、その能力を活かした情報収集能力を得意としている。また聡明な頭脳の持ち主で、「カールステンの情報と作戦に間違いなどあり得るものか!」とヴァンザルデンからのお墨付きを貰う程にヴァンザルデンから絶大な信頼を寄せられている。

 趣味は読書で、暇さえあればジャンルを問わず様々な本を読み漁り、あらゆる知識を蓄えている。その目的は、戦闘能力の無い自分がマイン公爵とヴァンザルデンの役に立つ“知恵袋”となることである。




 ・パイクス:マイン領主軍双璧の一人。

 マイン領主軍の双璧と謳われる将軍の一人。

 白い毛に爪痕の様な黒い模様が入った、丸い小さな耳と細長い尻尾が特徴の獣人。

 ヴァンザルデンの強さに憧れて弟子入りし、猛特訓の末に将軍の地位まで上り詰めたたたき上げ。短剣の扱いに長け、高い身体能力を活かした接近戦を得意としている。

 もう一人の将軍であるピークとは顔を合わせてはいつもいがみ合っているが、お互いにお互いをライバルであり戦友と思っているので仲自体は悪いわけではない。




 ・ピーク:マイン領主軍双璧の一人

 マイン領主軍の双璧と謳われる将軍の一人。

 元将軍であった父親に憧れ、父親とヴァンザルデンから指導を受け、夢であった将軍の地位を手に入れた。

 父親譲りの真面目な性格。伝授され鍛え上げた正確無比の素早い剣術は、ヴァンザルデンが一目置くレベルまで昇華されている。

 もう一人の将軍であるパイクスとは顔を合わせてはいつもいがみ合っているが、お互いにお互いをライバルであり戦友と思っているので仲自体は悪いわけではない。




 ・ギャランド・ストール:鉱山都市の統治者。

 ストール鉱山都市の統治を任されている伯爵貴族。細身の48歳。

 温厚な人柄と鉱山都市に暮す人々に重点を置いた統治の仕方で、ストール鉱山都市に暮す人々から厚い信頼を置かれている。

 その見事な統治能力は、マイン公爵から「彼が居る限り、ストール鉱山都市は発展の一途を遂げるだろう」と評価されるほどである。




 ・ヴェスパ:女王蜂の異名を持つ騎士団長。

 ストール伯爵領地軍の若き騎士団長。25歳。

 肩まで伸びる朱色の癖毛が特徴で、愛用のレイピアをいつも腰に携帯している女性。

 スレンダーな体型からは想像できない程の高い身体能力を持っており、素早く動いて相手の急所を的確に貫く戦い方から“女王蜂”の異名を持つ。本人は無自覚だが、戦闘の最中は若干S気質が入る。“女王蜂”の異名はそこから名付けられたとかなんとか……。

 若い時は胸が全くと言っていいほど無いのがコンプレックスだったが、成長期を終えた辺りで諦めがついた。




 ・ヨッヘリント:ハンターからの信頼厚き支部長。

 ストール鉱山都市のハンター組合支部長。

 元々は名のあるハンターだったが、結婚を機にハンターを辞めて、ストール鉱山都市のハンター組合の支部長に就任した。

 面倒見がいい性格で、よくハンター達の悩みや相談を聞いている。そんな事をしていたおかげでハンター達からの信頼は厚く、“兄貴”と呼ばれ尊敬されている。

 妻と2歳になる息子の三人で暮らしている。




 ・ボノオロス:鉱山のヌシ。

 ストール鉱山の鉱夫長をしている50歳の年配男性。鉱夫達のリーダー。

 幼い頃からストール鉱山で働く、この道40年の大ベテラン。鉱山のことは何でも知り尽くしているので、付いたあだ名が『鉱山のヌシ』。

 元々鉱夫長という役職はなく、鉱夫達が勝手にボノオロスをそう呼称し始めた。それがストール伯爵の耳に届いたことで、鉱夫長が正式な役職として作られ、ボノオロスがその座に任命された。




 ・ラルセット・コルサ:並立のラルセット。

 プアボム公国の宰相を務める子爵家貴族。貿易都市経営組織のトップ“八柱オクタラムナ”の一人でもある。コルサ子爵家は、プアボム公国の中央~北側を統治するファーラト公爵領の中に存在している。

 貴族でありながら貴族らしからぬ平凡な見た目で、よく見ないと平民と見間違えてしまうほどのちょっと変わった貴族である。しかしその様が「親しみが持てる!」と人気を呼び、ぶっちぎりの投票数を獲得して宰相の座に就いた。

 宰相となったラルセットに対して「こいつで大丈夫かよ……?」と眉を顰める貴族は多かったが、その評価はすぐに見直されることになった。

 元々人の話を聞くのが好きな聞き上手で、多数の意見を客観的に纏める能力も優れていたラルセットにとって、国のトップである四大公の意見を纏め、納得のいく落としどころに導くなど朝飯前だった。

 ラルセットの登場によって、四大公はより有意義な会議を出来るようになった。そんなラルセットの活躍ぶりは四大公や他の貴族達からも高く評価され、着任からわずか半年で「過去最高の宰相」と称される様になった。




 ・オリバー・ファーラト:四大公最古参貴族家の一角。

 プアボム公国の中央~北の一帯を統治するファーラト公爵家の現当主。56歳。

 現在の四大公メンバーでは最年長の人物で、経験豊富な知識を活かした領地運営のプロフェッショナル。その手腕は四大公の誰よりも優れており、他のメンバーから頼りにされ慕われている。

 しかし時折、年長者という立ち位置を勘違いして高飛車な態度を取ってしまい、四大公を独断で引っ張ろうとする癖がある。

 ファーラト公爵家はマイン公爵家と同じく、プアボム公国建国以前から今の領地を統治している。四大公一の広大な領土を活かした農林産業が盛んで、ファーラト公爵領は『プアボム公国の食糧庫』という別名で呼ばれている。




 ・ベルネリオ・エーギル:海岸の支配者。

 プアボム公国の東側を統治するエーギル公爵家の現当主。やや細身の32歳。温厚な見た目をしているが、それとは裏腹な『海岸の支配者』という異名を持つ男。

 エーギル公爵領はプアボム公国で最も海に面しており、事実上、エーギル公爵家が海産業の全ての実権を握っていると言ってもいい。そんな家の当主となったベルネリオは、全ての漁師の繋がりを強化するために『漁師組合』という独自の組合を立ち上げて指揮を取った。その結果、海産業の利益は爆発的な伸びをみせ、エーギル公爵領の権力拡大を成功させた。

 ベルネリオの異名はここから付けられた。




 ・ルカ・メルネーリオ:プアボム公国最終防衛ライン。

 プアボム公国の南を統治するメルネーリオ公爵家の現当主。ずんぐりした体型の35歳。

 見た目から想像できない程のかなりの武闘派で、幼少の頃から教訓という名の修業を積み重ねてきた。その結果、武力や統率力は貴族というより将軍のそれと同等まで磨き上げられ、更には作戦立案から実戦指揮まで全てをこなす戦闘のプロとなった。

 メルネーリオ公爵領はかつて戦争をしていたムーア王国と隣接しており、メルネーリオ公爵家は世界大戦の当時、防衛線の指揮官をしていた貴族家だった。終戦後その功績が称えられ、公爵の地位とプアボム公国南側一帯の領土を手に入れた。

 それから150年戦争は起きていないが、今でも防衛線を守護する武闘派貴族としてその名を轟かせ、メルネーリオ公爵領は『プアボム公国一の武力が集まる領地』として有名になっている。

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