第4話 パジャマの2人
「おまたせ、お兄さん」
「ん? なんでパジャマを着てるのか? ウチがパジャマに着替えてきた理由が気になるとね?」
「あんな? お兄さんの気持ちもわかるとやけど、焦ったらダメなが。順番があるけんね」
「それに、理由はすぐに解るけん。いまはもう少しだけ待っちょってな?」
「まずは、毎日頑張ってるお兄さんに、1ヶ月記念のプレゼントがあると。きっと気に入ってくれると思けん。開けて欲しいと」
「……どげん? お兄さんに似合いそうな高級パジャマ。色々とこだわって、選んでみたんよ?」
「あっ、お金は気にせんくていいけんね。1ヶ月記念日のお礼をするって、ママにお願いしたと」
「本当はウチのお小遣いでお礼がしたかったんやけど、ぜんぜん足りんかったけんね」
「ほいでな? 疲労の回復には、睡眠の質が重要らしいけん。この高級なパジャマやったら、肌さわりがスベスベで、深く眠れそうな気がせんと?」
「する? ん。そう言って貰えると、ウチも頑張って選んだかいがあったちゃね」
「ほやからな? そのパジャマに着替えるちゃね」
「……ん? うん。着替えるのは、いまやよ?」
「なぜ? って、そげん驚かんでもいいとね?」
「パジャマはリラックスするための道具やけん。パジャマを渡して終了やと、片手落ちになるとよ? お兄さんを元気にしよう計画は、これからやけん」
「ほやからな? まずは上着から脱ぐっちゃね。腕を上げて、前開きのボタンもウチが──」
「ん? それはさすがにダメやと?」
「んー、ほやけどな? 今日は徹底的に、お兄さんを癒やす予定やけん。お着替えもウチがさせたいとね。……どうしてもダメやと?」
「……ん。わかったけん。お兄さんが恥ずかしいなら、仕方ないちゃね」
「ウチは後ろを向いてるけん、早めに着替えを終わるとよ?」
「ん? お兄さんが着替え終わるまで部屋から出ててる? うん。それもよかよ?」
「ほやけどな? 今日は記念日やけん。1人は寂しいっちゃね。ずっと2人でいたいと思うとよ。どうしてもあかんと?」
「恥ずかしいけどいい? ん、ありがと、お兄さん。大好きやけん、ずっと一緒にいると」
「ふふっ。それじゃあ、ウチは後ろを向いて、壁だけを見とるちゃね」
「あんな、お兄さん? いまさらやけど、お兄さんの寝室に、ウチ、はじめて入ったっちゃね。意外とキレイにしてて、見直したと」
「それになんだか、いい香りがするっちゃね。芳香剤の香りと違うとね?」
「ほやよね。芳香剤とは全然違う香りがするけん」
「ほやったら、この香りはお兄さんの香り? とってもいい香りがするとね」
「そう言えばな? 忘れるところやったけん。リラックスが出来るディフューザー買ってきたと」
「お兄さんに似合う香りやけん。部屋の香りとケンカもせんと思うと。お部屋の真ん中に置いてもよかよね?」
「いい? ん。ありがと。いろいろ歩き回るけど、ウチのことは気にせんくてよかよ。お兄さんは、そのまま着替えてていいちゃね」
「……もしこれが、ほんとにエッチな気分になるんなら、ベットの近くに置くんがよかよね? ……ん。ここがいいちゃね」
「お兄さん、ディフューザーここにおくとね? ん? お兄さんも着替え終わったと? そのパジャマ、すっごく似合っとるちゃね」
「着心地はどんな感じやと? ゆっくり寝れそうけ?」
「寝れそう? ん。それならよかったちゃ」
「ほやったらな? お疲れ気味のお兄さんは、ベットの上で仰向けになるとね」
「なぜって? 今日はパジャマパーティーじゃなくて、お兄さんを癒やす会ながよ?」
「ほやからな? まずはこのアイマスクをつけるちゃね。なんにも見えない状態で、全身の力を抜くと」
「それじゃあ、まずは右耳から始めるけんね。お兄さんは絶対に動いたらダメやよ?」
「あんな? 聞いててわかると思うがいけど、いまな? ウチのくちびるとお兄さんの耳がすっごく近い所にあるとよ?」
「ほやから、お兄さんがちょっとでも動くと、チュッって触れることになるけんね」
「ウチの息、お兄さんの耳に当たっとると? ふふっ。ちょっとの時間だけやけん。我慢しちょってな?」
「これもな? お兄さんのためやけん。疲れが取れとる気がせんとね?」
「ほやけど、ちょっとだけウチも恥ずかしいっちゃね……」
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