第6話 集団
何時からか、そんな風に呼ばれたりもする。
人間が近付けば、都市の外に張り巡らされた高圧電流で一瞬で消し炭に変る。
たまに電流が消え去り、そこから送り出される。
獣のようなフォルムの機械。四つ肢で動き、吠え声を響かせる機械仕掛けの獣。
その行動目的は明白であった。人間を見つけ出し、生命活動を停止させる。
疑念の余地は無い。恭平自身が何度もその光景を目撃しているのだから。
「へへへへへ。
今日の放送はそろそろオシマイです。
もう少し長く話していたい気もするんですが、毎日放送しますからね。
好きなだけ話してたら、あっと言う間に話題が無くなっちゃいます。
一日15分と決めたので、決定事項に従いますよー。
今回は衝撃の報告だらけでした。
皆さんついて来られてますか。
まひるちゃんが犯罪者だったなんて!
そんなショックを受けちゃってますか。
わたしもショックですよー。
自分が犯罪者になる日が来るなんて思ってなかったです」
そんなの!
現在となっては犯罪であるものか!
「さぁ、わたしは餓死する前にあなたと逢う事が出来るんでしょうか。
……わたし……キョウヘイくんに逢いたい……です……
はい、じゃあ今日は終了です。
また明日~」
逢いたい。
俺も逢いたいよ。
そう呟いた恭平は音を出さなくなったラジオをしばらく、ボンヤリと眺めていた。
アレが起きた後、恭平はしばらくは逃げ惑う集団の中に居た。
電気が止まったのだ。警察も軍隊も居なくなった。
最初のうちは自衛隊が何とかしてくれる、等と言う楽観論も有ったのだが何時まで経っても軍隊の姿を見る事は無かった。
考えてみれば当然だろう。軍隊も、兵器も現在ではネットとAIなしには成り立たないのだ。そのネットとAIが敵となったのだ。
だがいつまでもそこには居られなかった。最初の内こそ生き延びるため結束していた人間達だが……すぐに不穏な空気が立ち込めた。
他人に指示を出す事に慣れている人間、企業の重役だと名乗る男、大学教授等が自然とリーダー格になっていたのだが、いつの間にか暴力的な男達が取って代わった。
未来のため、食料の自給自足体制を造らねばならない。畑を作り、果物を栽培しようと言う良識派に男達は反発した。
まずは有る所から戴こう。そんな悠長な計画はそれからだ。
大型デパートを襲撃し、食料品の工場を襲った。他の人間集団と出会う事も有ったが男達は彼等と戦い、仲間として迎え入れるのでは無く、支配下に組み入れた。
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