第5話 エレクトリックシティ

「へへへへへ」


 食料がもう無いと言うまひるの声。

 なのに、彼女は笑っている。

 明るく楽しく放送しようと決めたからなのか。

 聴いている恭平の方が焦って、立ち上がってしまった程の事態なのに。


「へへへへ。

 衝撃の告白ついでです。

 今まで内緒にしてましたが……

 まひるは実は犯罪者なのです!」


 何だって?

 ……なにを言っている?



「個人でラジオを流すのは合法とお伝えしましたね。

 でもそれは電波強度が500m離れたところで、200ミリボルト以下の物なんです。

 それだとですね、聞いてる人のアンテナの性能がメッチャ良くない限り1キロ位が聞ける範囲ギリギリなんですって」

 

 

 知っている。

 恭平は書店で調べたのだ。関係ありそうな本を片っ端から調べた。

 それによると1キロと言うのもアンテナの性能が良くなければいけない。その辺のイヤホンをアンテナ替わりに使うようなモノでは100メートルさえ聞けるかどうか。アンテナによっては3キロ離れていても明瞭に聞こえると言う。

 その情報でアンテナを自作してしまった恭平なのだ。



「そんなのつまらないじゃねーか、と言って父は出力を改造してしまいました。

 だからこの電波はとんでもなく強力。

 1キロ程度じゃ無く、数十キロ離れてでもあなたに聴こえるハズなんですね。

 非合法な電波強度です。

 それを地区の通信局と名乗るトコロから注意されて父はラジオ止めちゃったんですねー。

 分かっていたのに、まひるもやらかしてしまいました。

 タイヘンです。

 まひるちゃん犯罪を犯しました。

 しかもそれをこんな風に公開してしまうなんて……

 お巡りさんに捕まっちゃいますね」



 だからか!


 ずっと恭平は探していた、探し回っていたのだ。

 1キロ程度の範囲ならば、虱潰しに当たって行けばいつかは電波の発信元に辿り着けると考えていた。

 なのに……

 いくら探しても辿り着かない。

 もしかして、俺は幻覚でも聞いているんじゃないか。

 そんな事まで考え出していた恭平なのだ。


 数十キロ!

 それを四方に虱潰しに探すとなると……

 難易度は一気に高くなる。


 それに……なにより……

 そうなってしまうと、あそこまでが範囲に入ってしまうのだ。


  量子コンピューターやニューロコンピュータ、次世代型と言われた電子知能とても人工物に過ぎない。電子知能により造られた電子知能。人工では無い電子知能。その集合体により作り上げられた都市エレクトリックシティ

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