あなたの心を離さない“木製バットな”あの子たち

シカンタザ(AI使用)

あなたの心を離さない“木製バットな”あの子たち

「やあやあミリア」

「なんだいアリア?」

「野球のバットってさ、木で出来てるよね」

「そうだね。でもそれがどうしたんだい?」

「なんで金属じゃないのかなって思ってさ。だって金属の方が硬そうじゃん? それならボールも跳ね返るし、ホームランも出やすくなると思うんだけどなぁ……」

「それはね、鉄は重いからだよ」

「えーっ!? そんな理由だったの!? てっきり私が馬鹿だから理解できないだけかと思ってたよ! だってほら、金属製のバットってあるじゃん!」

「あれはアルミニウム合金っていうんだよ。アルミにプラスしてマグネシウムを混ぜることで、軽さと強度のバランスが取れているんだ」

「へぇ~! じゃあさ、もしその金属と木を組み合わせたバットを作ったらどうなるのかな?」

「軽くて強いバットになるだろうね。しかも使いやすいはずだよ」

「うわー! なんかすごいものが出来ちゃいそうだね! それでそれで? 他にはどんな利点が?」

「耐久性が高いところだね。それに軽いから扱いやすく、子供でも楽に投げられるはずさ」

「ふむふむ……確かにそうだね。あとは何より見た目がいい!」

「まぁ、見た目は大事だね。特にスポーツの世界では」

「ねぇアリア、私達で作らない?」

「私達がかい?……面白そうだね。でも一体何を作るつもりだい?」

「うーん……とりあえず思い付いたのは、木製バットと金属バットの中間みたいな感じのやつ!」

「中間というと、どういう風にだい?」

「まず素材は木を使うけど、持ち手部分は少し重くするの! そして重さによってバランスを取るために、先端部分にも重りを付ける! これで完成!」

「なるほど……なかなか面白いじゃないか。それで、肝心のデザインとかは考えているのかい?」

「全然考えてないよ!……あっ、でもこの前見たアニメで、女の子が使うバットに可愛いマスコットを付けてたよ! あのキャラのぬいぐるみを作ってさ、そこにマスコットを付ければいいんじゃない!?」

「悪くはないけど……それだとインパクトに欠ける気がしないかい?」

「うぅ……そっか……。やっぱりここはシンプルに行くしかないよね……」

「まぁ、まだ時間はあるんだ。じっくり考えようじゃないか」

「うん! ありがとね、アリア!」

「気にすることは無いよ。友達じゃないか」

「そうだよね!……ところでさ、どうして今日はこんなに暑いのかな?」

「……本当に暑いね。今年一番かもしれない」

「うわーっ!! もうダメだーっ!!」

「ちょっと待ってくれミリア!いくらなんでも早すぎるぞ!」

「だってさー! このままじゃ熱中症で倒れちゃうよー!」

「だからと言っていきなり倒れるなんておかしいだろ! もう少し我慢してくれ!」

「嫌だーっ!!……って、あれ? なんだか涼しくなってきたような……?」

「気のせいじゃないよ。ほら、周りを見てごらん」

「本当だ……なんかみんな汗が引いてるみたいに見える……まさかこれが噂に聞く冷風機ってやつなの!?」

「違うよ。これはエアコンの能力によるものだね」

「えっ? エアコンって、こんなに凄かったの?」

「まあ、家庭用の物と比べたらかなり性能が良い方だろうね」

「へぇ~!……でもさ、なんでわざわざこんなに大きな部屋を冷やす必要があるのかな? そんなに暑くなかったし、別に居間でも良かったと思うんだけどなー」

「それはね、ミリア。この部屋が広いからだよ」

「ふむふむ……広いから?」

「そうさ。例えばここで君と僕が同時に倒れたとするだろ? するとどうなるか分かるかい?」

「うーん……私が倒れて、その衝撃でテーブルがひっくり返っちゃう!……みたいな?」

「正解だ。でもそれだけじゃ終わらないんだよ」

「他にも何かあるの?」

「そうさ。もし私達二人共意識が無かった場合、床には大量の血が流れてしまうことになる」

「……」

「そしてその血溜まりの上には、凶器である金属バットがあるわけだ」

「……うん」

「つまり、もし誰かが強盗に入ったとしても、すぐにバレるということだね」

「……うん」

「それに、もしも私達二人が目を覚ましても、目の前に広がっている光景を見たらショックを受けるのは間違いないだろう。その時にパニックになってしまえば、最悪の場合は命を落とす危険性もある」

「……うん」

「そういったことを防ぐために、大きな部屋を使って、一気に冷房をつけたというわけさ」

「なるほど! そういうことだったのか!」

「分かったなら、早く着替えておいで」

「了解であります!……ところでさ、アリアは着替えないの?」

「私はいいよ。もう慣れているからね」

「……それって、いつも裸で過ごしてるってこと?」

「まぁ、そうなるね。でも別に気にしていないよ。むしろ着る服が少ない分、楽だと思っているくらいさ」

「ふぅん……変なの」

「そうかい?」

「うん。だってさ、服を着ないと寒いじゃん。それに、もし風邪を引いたら大変だし」

「確かにその通りだ。だけどね、ミリア。そもそも人間は、生まれながらにして服を着るように出来ていないんだよ」

「どういう意味?」

「そのままの意味さ。人間は成長するにつれて、自然と服を着るようになる。でも、生まれたばかりの赤ちゃんは、何も身につけてはいないだろう?」

「そうだね。お母さんのお腹の中にいる時は、素っ裸だったはず!」

「ああ、まさにその通りだよ。そして赤ちゃんは、自分でお乳を飲むことが出来るようになるまで、ずっと母親の胸に包まれたままで生きていくんだ」

「へぇ~! そうなんだ!」

「そうして成長していく中で、やがて歩けるようになり、言葉を覚え、ある程度の知恵を身につけた時……ようやく、人は大人になるんだ」

「なるほど! なんか感動する話だね!……でもさ、それってバットとは関係ないよね?」

「いや、大いに関係しているよ。何故なら、この世にバットが生まれた瞬間こそが、人間が大人になった瞬間だからさ」

「……よく分からないけど、バットが大人の証ってことでオーケー?」

「それで問題無いよ。まぁ、分かりやすく言うと、子供が木製のバットを持つと犯罪になってしまうが、大人が握れば立派な武器になるということだね」

「あーっ! やっと分かったよ!」

「ふふっ、良かったね」

「うん!……あっ、そうだ! せっかくだからさ、アリアにも何か作ってあげようか!?」

「えっ? 急にどうしたんだい?」

「だってさー! アリアってばいっつも裸だから、友達にプレゼントとか貰った事が無いんじゃないかと思って!」

「友達にプレゼントか……考えたことも無かったよ」

「やっぱり! だからさ、私が友達第一号として、記念の品を作ってあげるよ!」

「……そうかい。ありがとう、ミリア。嬉しいよ」

「いえいえ、これぐらい当然ですとも! 早速どんなデザインにするのか決めちゃおっか!」

「あぁ、よろしく頼むよ」

「うーん……何が良いかなー……」

「……」

「……ねぇ、アリア。ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

「なんだい?」

「なんで私のパンツを被ってるの?」

「それはね、こうすることで君の匂いを嗅げるからさ」

「変態さんだーっ!!」

「何を言っているんだ。君は私に自分の下着を被せたじゃないか」

「そっ、そういえばそうだった! でもさでもさ! それはアリアに似合うと思ったからであって、まさか本当に被るとは思わなかったもん!」

「まあ、そうだろうね。私も最初は驚いたよ。でも、すぐに考えを改めたんだ」

「なんで?」

「ミリアが私の事を思って行動してくれたように、私もミリアの事を想っているということを伝えたかったんだよ」

「そうだったの……でもさ、それなら別に私のブラジャーじゃなくても良くないかな?」

「それもそうだね。今度からは気をつけることにするよ」

「うむ、よろしい」

「……ところで、一つ聞いても良いかい?」

「なになに?」

「どうして君は自分のパンツを持っているんだい?」

「それはね、いざという時の保険のためだよ!」

「保険?」

「うん! もしも私達がピンチに陥った時にさ、このパンツがあれば、なんとかなるかもしれないじゃん!」

「確かにその通りだね。ちなみにだが、そのパンツはどこで手に入れた物なのか教えてくれるかい?」

「もちろん良いよ! これはね、昨日アリアと一緒に買い物に行ったときに買ったんだよ!」

「なるほど。つまりは、ミリアのお気に入りというわけだね」

「うん!……あっ、でもね! ちゃんとお金を出して、自分で選んだんだよ!」

「ふふっ、そうか。偉いね」

「えへへ、それほどでもあるよー!」

「ところで、ミリアは何色を選んだのかい?」

「白色だけど?」

「そうかい。てっきり赤色を選ぶと思っていたのだが、少し意外だったよ」

「赤だと血みたいに見えるじゃん!」

「確かにその通りだね。だけど、ミリアには白が良く似合っていると思うよ」

「ありがとー! でもさ、アリアだって黒色が好きだと思うなー!」

「ああ、よく言われるよ。でもね、私は黒よりも白い方が好きなんだ」

「えーっ! そうなんだ! どうしてなの?」

「その理由はね、単純に汚れが目立ちにくいからだね」

「あっ、そういうことか! なんか納得しちゃった!」

「ふふっ、分かってくれたようで何よりだよ」

「ねぇねぇ、他には無いの?もっと聞かせてほしいな!」

「そうだね……例えばの話なのだけれど、もし私が人を殺したらどうする?」

「……それって、どういう意味?」

「そのままの意味さ。もし私が人を殺してしまっても、ミリアは変わらずに接してくれるかい?」

「うーん……無理かも」

「そうだろうね。でも、安心してほしい。例え話だからね。実際に殺したりなんてしないよ」

「そうなんだ!……でもさ、もしもアリアが誰かを殺してしまったとしても、きっと私だけは友達でいてあげるよ!」

「本当かい?」

「うん!それにね、友達が間違ったことをしたら止めてあげるのが友達ってものでしょ!」

「ふふっ、ありがとう。とても嬉しいよ」

「いえいえ、こちらこそありがとうございます!……あっ!そうだ! せっかくだからさ、このバットに名前をつけようよ!」

「いいね。どんな名前が相応しいだろうか?」

「うーん……『アリア』っていう名前はどうかな?」

「それは素敵な名案だね。では、その名前にしようか」

「うん!決まり!」

「ありがとう。これからも大事にさせてもらうよ」

「いえいえ、どういたしまして!」

「そういえばさ、ミリアってば、私のパンツを何に使うの?」

「うーん……まだ秘密かなー!」

「ふーん、そうなんだ」

「でもさ、すぐに分かるよ!」

「それは楽しみだね」

「……ねぇ、アリア」

「なんだい?」

「もしもさ、世界が明日で終わるとしたら、アリアは何をしたい?」

「唐突だね。どうしてそんな質問をするんだい?」

「なんとなく聞きたくなってさー! それで、どうなの?」

「そうだね……。ミリアは何かあるかい?」

「私?……私はね、皆で楽しく過ごしたいな!」

「それは素晴らしい考えだね」

「でしょでしょ!? でもね、それだけじゃなくてさ、もっとこう……やりたい事とかもあるんだよね」

「どんな事をしたいんだい?」

「えっとね……まずは海に行きたいかな!」

「なるほど。確かにそれは良いかもしれないね」

「あとさ、山登りも楽しそうじゃない?」

「そうだね。他には?」

「うーん……そうだ! お花見も行きたいな!」

「桜を見に行くのかい?」

「うん! それから、ピクニックにも行ってみたいな!」

「ふむ。それは実に魅力的だね」

「他にもいっぱい楽しいことが待ってるんだよ!」

「ああ、想像するだけで胸が高鳴ってしまうよ」

「でしょでしょ!」

「ところで、ミリアはいつ頃この国を出るつもりなんだい?」

「うーん……今はまだ決めてないけど、いつかは出ていきたいと思ってるかも……」

「そうか。それなら、私から一つ提案があるのだけれど、聞いてくれるかい?」

「えっ、ほんとに!? ぜひ聞かせてください!」

「実はね、ミリアのために旅の準備をしておいたんだよ」

「わぁー! すごい! 準備が良いんだね!」

「まあね。ちなみにだが、荷物は既に馬車の中に積んであるんだよ」

「そうなんだ! じゃあさ、早速出発しよっか!」

「ふふっ、了解だ」

「あっ、そうだ! 忘れるところだった! ちょっと待ってて!」

「ミリア?」

「お待たせー!」

「ミリア、その手に持っている物はいったい何なのかな?」

「これはね、アリアへのプレゼントだよ!」

「……これはまた随分と可愛らしい花飾りだね」

「えへへ、似合ってる?」

「ああ、もちろんだとも」

「良かった! じゃあ、はい! どうぞ!」

「……本当にもらっても良いのかい?」

「うん! 受け取ってほしいな!」

「分かった。大切に使わせてもらうよ」

「うん! 使ってね!」

「ありがとう。ところで、この花はなんていう名前なのだろう?」

「それはね、『チューリップ』って言うんだよ!」

「なるほど。では、私からもミリアに贈り物をしよう」

「本当!? やったー!」

「これだよ」

「うーん……? あっ! 綺麗なお花のネックレスだ!」

「気に入ってくれたかい?」

「うん!すっごく気に入ったよ! でもさ、どうして私なんかにこんな素敵な物をくれたの?」

「ミリアだからあげたんだよ」

「そうなの?」

「そうだよ。それにね、このネックレスには私の魔力が込められているんだ」

「アリアの? それってどういう意味なの?」

「このネックレスを身につけている間、君は魔法が使えるようになる」

「えぇー!? 本当なの!?」

「ああ、間違いないよ。試しにさ、何か簡単な魔法を使ってみてくれないかい?」

「うーん……どうしようかなー?」

「大丈夫だよ。失敗しても私がちゃんとサポートしてあげるからね」

「そっか! それなら安心かも! じゃあ、やってみるね!……ファイア!」

「おお、凄いじゃないか。もう既に使いこなせるようになっているみたいだね」

「そうなの?」

「ああ。ただ、まだコントロールが上手くできていないようだね。もう少し練習すれば完璧に扱えるようになるとは思うのだが……」

「うーん……でもさ、あんまり難しく考える必要はないんじゃないかな?」

「というと?」

「だってさ、アリアのおかげで私は新しい力が手に入ったんだよ? だったらさ、そんなに焦らなくても良いと思うんだよね!」

「確かにミリアの言う通りかもしれないね」

「でしょでしょ!?」

「しかし、私は少しでも早く君に追いつきたいと思っているんだ」

「えへへ、嬉しいなー!」

「ミリアはどうなんだい?」

「もちろん、私も追いつこうと思って頑張ってるよ!」

「ふむ。お互いに頑張ろうか」

「そうだね!……ねぇ、アリア」

「なんだい?」

「もしもさ……明日世界が終わるとしたら、何をしたい?」

「唐突だね。どうしてそんな質問をするんだい?」

「なんとなく聞きたくなってさ! それで、どうなの?」

「そうだね……。私は……ミリアと一緒に居たいよ」

「そうなの?」

「ああ、そうだとも」

「ふふっ、なんだか照れちゃうなー!」

「ミリアはどうだい?」

「私もアリアと同じ気持ちだよ!」

「そうか。それは素敵だね」

「でしょでしょ!?」

「ところで、ミリアはいつ頃この国を出るつもりなのかい?」

「うーん……今はまだ決めてないけど、いつかは出ていきたいと思ってるかも……」

「そうか。それなら、私から一つ提案があるのだけれど、聞いてくれるかい?」

「えっ、ほんとに!? ぜひ聞かせてください!」

「実はね、ミリアのために旅の準備をしておいたんだよ」

「わぁー! すごい!準備が良いんだね!」

「まあね。ちなみにだが、荷物は既に馬車の中に積んであるんだよ」

「そうなんだ! じゃあさ、早速出発しよっか!」

「ふふっ、了解だ」

「あっ、そうだ! 忘れるところだった! ちょっと待ってて!」

「ミリア?」

「お待たせー!」

「ミリア、その手に持っている物はいったい何なのかな?」

「これはね、アリアへのプレゼントだよ!」

「これはまた随分と可愛らしい花飾りだね」

「えへへ、似合ってる?」

「もちろんだとも」

「良かった! じゃあ、はい! どうぞ!」

「本当にもらっても良いのかい?」

「うん!受け取ってほしいな!」

「分かった。大切に使わせてもらうよ」

「ありがとう。ところで、この花はなんていう名前なのだろう?」

「それはね、『バラ』って言うんだよ!」

「なるほど。では、私からもミリアに贈り物をしよう」

「本当!? やったー! でもさ、どうして私なんかにこんな素敵な物をくれたの?」

「ミリアだからあげたんだよ」

「そうなの?」

「そうだよ。それにね、このネックレスには私の魔力が込められているんだ」

「アリアの? それってどういう意味なの?」

「このネックレスを身につけている間、君は魔法が使えるようになる」

「えぇー!? 本当なの!?」

「ああ、間違いないよ。試しにさ、何か簡単な魔法を使ってみてくれないかい?」

「うーん……どうしようかなー?」

「大丈夫だよ。失敗しても私がちゃんとサポートしてあげるからね」

「そっか!それなら安心かも! じゃあ、やってみるね!……ブリザード!」

「おお、凄いじゃないか。もう既に使いこなせるようになっているみたいだね」

「そうなの?」

「ああ。ただ、まだコントロールが上手くできていないようだね。もう少し練習すれば完璧に扱えるようになるとは思うのだが……」

「うーん……でもさ、あんまり難しく考える必要はないんじゃないかな?」

「というと?」

「だってさ、アリアのおかげで私は新しい力が手に入ったんだよ? だったらさ、そんなに焦らなくても良いと思うんだよね!」

「確かにミリアの言う通りかもしれないね」

「でしょでしょ!?」

「しかし、私は少しでも早く君に追いつきたいと思っているんだ」

「えへへ、嬉しいなー!」

「ミリアはどうなんだい?」

「もちろん、私も追いつこうと思って頑張ってるよ!」

「ふむ。お互いに頑張ろうか」

「そうだね!……ねぇ、アリア」

「なんだい?」

「もしもさ……木製バットが喋ったとしたらどうする?」

「どうしたんだい、いきなりそんな事を言って」

「えっとね、昨日見たドラマの主人公が『俺、実は木製バットだったんだ!』って言い出したの。それでさ、気になったんだけど、木製バットは喋れるの?」

「うーむ……。残念ながら、私は木で出来ているので話す事はできないな……」

「そっかー……。じゃあさ、木製バットはどんな事ができるの?」

「そうだね。例えばだが、金属バットと違って軽くて振りやすいのが特徴だね」

「へー!そうなんだ!他には?」

「後は……持ち主の打撃フォームに合わせて最適なスイングができるとか、木製なので折れにくいというのもメリットだね」

「ほー!そうなんだ!すごいねー!」

「しかし、一番の利点はやっぱり軽いことだと思うよ」

「ふふっ、そうかもね!」

「ところで、ミリアはいつ頃この国を出るつもりなんだい?」

「うーん……今はまだ決めてないけど、いつかは出ていきたいと思ってるかも……」

「そうか。それなら、私から一つ提案があるのだけれど、聞いてくれるかい?」

「えっ、ほんとに!? ぜひ聞かせてください!」

「実はね、ミリアのために木製バットの準備をしておいたんだよ」

「わぁー! すごい!準備が良いんだね!」

「まあね。ちなみにだが、荷物は既に馬車の中に積んであるんだよ」

「そうなんだ! じゃあさ、早速出発しよっか!」

「ふふっ、了解だ」

「あっ、そうだ! 忘れるところだった! ちょっと待ってて!」

「ミリア?」

「お待たせー!」

「ミリア、その手に持っている物はいったい何なのかな?」

「これはね、アリアへのプレゼントだよ!」

「私は別に何もしていないのだが……」

「いいの!私からアリアにあげたかっただけだから!」

「そうかい?それなら遠慮なく頂くよ」

「うん!受け取ってください!」

「ありがとう。ところで、この花はなんていう名前なのだろう?」

「それはね、『ユリ』って言うんだよ!」

「なるほど。では、私からもミリアに贈り物をしよう」

「本当!? やったー! でもさ、どうして私なんかにこんな素敵な物をくれたの?」

「ミリアだからあげたんだ」

「そうなの?」

「そうだよ。それにね、このネックレスには私の魔力が込められているんだ」

「アリアの? それってどういう意味なの?」

「このネックレスを身につけている間、君は魔法が使えるようになる」

「えぇー!? 本当なの!?」

「ああ、間違いないよ。試しにさ、何か簡単な魔法を使ってみてくれないかい?」

「うーん……どうしようかなー?」

「大丈夫だよ。失敗しても私がちゃんとサポートしてあげるからね」

「そっか!それなら安心かも! じゃあ、やってみるね!……サンダー!」

「おお、凄いな。もう既に使いこなせるようになっているみたいだね」

「そうなの?」

「ああ。ただ、まだコントロールが上手くできていないようだね。もう少し練習すれば完璧に扱えるようになるとは思うのだが……」

「うーん……でもさ、あんまり難しく考える必要はないんじゃないかな?」

「というと?」

「だってさ、アリアのおかげで私は新しい力が手に入ったんだよ? だったらさ、そんなに焦らなくても良いと思うんだよね!」

「確かにミリアの言う通りかもしれないね」

「でしょでしょ!?」

「しかし、私は少しでも早く君に追いつきたいと思っているんだ」

「えへへ、嬉しいなー!」

「ミリアはどうなんだい?」

「もちろん、私も追いつこうと思って頑張ってるよ!」

「ふむ。お互いに頑張ろうか」

「そうだね!……ねぇ、アリア」

「なんだい?」

「もしもさ……明日世界が木製バットになったらどうする?」

「どうしたんだい、いきなりそんな事を言って」

「えっとね、昨日見たドラマの主人公が『俺、実は木製バットだったんだ!』って言い出したの。それでさ、気になったんだけど、木製バットは喋れるの?」

「うーむ……。残念ながら、私は木で出来ているので話す事はできないな……」

「そっかー……。じゃあさ、木製バットはどんな事ができるの?」

「そうだね。いや、そもそも木製バットは金属バットと違って軽いからね。バットを振るスピードはとても速いんだよ。だから、スイング速度がとても速くて、三振しにくいのが特徴だね」

「ほー!そうなんだ!他には?」

「後は……持ち主の打撃フォームに合わせて最適なスイングができるとか、木製なので折れにくいというのもメリットだね」

「ふふっ、そうかもね!」

「ところで、ミリアはいつ頃この国を出るつもりなんだい?」

「うーん……今はまだ決めてないけど、いつかは出ていきたいと思ってるかも……」

「そうか。それなら、私から一つ提案があるのだけれど、聞いてくれるかい?」

「えっ、ほんとに!? ぜひ聞かせてください!」

「実はね、ミリアのために木製バットの準備をしておいたんだよ」

「わぁー!すごい!準備が良いんだね!」

「まあね。ちなみにだが、荷物は既に馬車の中に積んであるんだよ」

「そうなんだ! じゃあさ、早速出発しよっか!」

「ふふっ、了解だ」

「じゃあ出発しよう!」

「ミリア、ストップだ」

「どうしたの?」

「まずはこの馬に餌をあげないといけないからね」

「あっ、そういえばそうだったね!」

「では、馬の世話をしてくるから少し待っていてくれ」

「うん!分かった!」

「お待たせ、ミリア」

「おかえり! ねえ、この子はなんて名前なの?」

「この子の名前は『マルチーズ』だよ」

「へー! 可愛い名前だね!」

「ああ、本当に愛らしい顔立ちをしているよ」

「それにしてもさ、どうして犬の名前がマルチーズなんだろうね?」

「さあ、どうしてだろうね?」

「きっとさ、飼い主さんが好きな食べ物の名前を付けたんだよ!」

「なるほど。そういう理由もあるかもしれないね」

「それにしても、アリアのペットは大人しいんだね!」

「そうだね。あまり吠えたりしないから助かっているよ」

「でもさ、よく見ると足が震えてるよ?」

「それはね、緊張しているだけなんだよ」

「そうなんだ! この子が私達の旅について来てくれるんだね!」

「ああ。よろしく頼むよ」

「こちらこそ、お願いします!」

「ところでさ、マルチーズの毛はどうして茶色いの?」

「これはね、チョコレートを食べさせたからだね」

「えぇー!? チョコをあげたの? 大丈夫なの?」

「安心してくれ。ちゃんと管理してあげれば問題ないからね」

「そうなんだ! じゃあさ、もし私がチョコレートをあげるって言ったら食べさせてくれますか?」

「もちろんだよ。ただし、一日一個までだよ?」

「やったー!ありがとう!」

「それなら、今日はもう寝ようか」

「そうだね!明日に備えてゆっくり休もう!」

「ミリア、おやすみなさい」

「アリア、おやすみー!」

「ミリア、起きて下さい」

「……あと5分」

「ミリア、早くしないと置いていきますよ」

「……うぅーん」

「ミリア、起きないとキスしてしまいますよ?」

「……すぴー」

「……仕方がないですね。それなら、遠慮なくさせて頂きましょうか」

「……ん?……ふえ?」

「おはようございます、ミリア」

「あれ……アリア……?……あっ、夢だったのか……よかったー……」

「どんな夢を見たんですか?」

「えっとね、夢の中だとね、アリアが木製バットになってたの!」

「そうですか。私はミリアの夢の中では木製バットになっているのですね」

「うん!それでね、私のパートナーとして一緒に旅をするの!」

「ふむ、面白い設定だね。ちなみに、その夢の中で私はどんな事をしていたんだい?」

「うーん……。なんかね、木製バットの使い方を教えてくれたよ!」

「そうなのか。それなら良かったよ」

「そうだね!……あのさ、今思ったんだけど、木製バットは喋れるのかな?」

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