第61話 あら不思議、綺麗スッパリ
干し柿みたいに首にロープ巻かれて繋がれている人たちを手早く解放する。
「あ、ありがとうございます」
若干なんてもんじゃなく混乱してるが、元々この先には地獄しか無いと人生諦めてたところまで行ってるから、大騒ぎにはなってないようで。
50センチ長さの角材を2枚張り合わせて、合わせ目に穴を開けて腕を通すだけの構造の『手錠』を壊す。
『棒』に〈空間斬〉を乗せてコツンと叩くとあら不思議。綺麗スッパリと両断される。
「はぁ!?」
しまった! なんで『棒』で切れるんだ。
のこぎりとか専用工具で裁断したと思われる側面よりも綺麗な断面、シュールすぎるだろこれ。
慣れって怖いね。
もういいや、勢いでコンコンと20人ほど全員の手錠を物故割す。
合流したアルファさんにあとをお願いして、しまっちゃうおじさんになる。
「悪い大人はしまっちゃいますよ」
装備を剥いで放り込む。『反省部屋』でちゃんと反省してください。
いつ出れるのかは知らないけど。
〈箱庭〉への扉自体には設置コストが無いみたいで、出すのも消すのも負担が無い。
一人放り込むために扉を出し、数歩先の一人をしまうために再設置しても、引っ張って連れ込むより楽。
俺の手元でどんどん消えていく帝国兵を見て、みんなはどう思うだろう。
連行されていた男衆は、麦の収穫が始まる前に労働奴隷にでもするつもりだったんだろう。
道理で町に一般男性の姿がほとんど無かったわけだ。
「ありがとうございます」「ありがとうございます」
突然降って沸いた絶望の運命から解放されたことの実感がじわりと心に染みる。
すぐに「うおおおぉぉぉっ!!」って大騒ぎしないのが男だね。
「宿場町は解放しました。盗賊集団をなんとかしただけなので荒れてるとは思いますが。
荷馬車もたぶん手付かずだし、道中に魔物も盗賊もいないようだからこのまま帰って大丈夫だと思いますよ。
僕はこの先の廃砦に向かって、なんかいろいろ嫌がらせしてきます」
やることが決まると動きが早い。2台の荷馬車が向きを替え引き返していく。
それについていく男たちの顔は晴れやかだ。
俺ももうひと頑張りしよう。
彼らを見送った後、街道から少し外れて〈箱庭〉に入る。
『反省部屋』、昨晩は全員じっとしてたからわからなかったけど元気なのと動かないの両極端だなあ。
そろそろ第一波の3人が元に戻るので、自分の上司のおっさんに差し込んでいる今の状況がどうなるのか見ていたい気もする。
いちばん年下の
それはともかく、また罪科ランキング上位3名を選んで女性化しリリース。
魂の大事な部分を砕かれて放心して震えながら反省中かもしれないけど、『強姦殺人』『享楽殺人』笑いながら汚してきたその手がきちんと反省して綺麗になるまで、システム様が許してくれるまでは俺が許さない。
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