第55話 全員、問答無用でギルティ
夜20時頃といったところか、灯りが貴重で夜が早い世界とはいえ、まだまだ寝静まるには早い時間。
宿場町に入ると、『死の臭い』がきつくなる。
マップや気配察知では確認できないけど、よく見ればところどころ道の片隅に人が転がっている。
屋外、町の中で出歩いてる人の姿はほとんど無い。
〈隠密Lv1〉がよく効いている。相手の視界に入ってるはずなのに何ひとつ警戒されない。
鑑定で『享楽殺人』がついてない強盗はマスターウイザード様の〈
殺人を楽しんでる方々には『おしおき棒』(手加減・3トン・空間斬・スタンボルト)できっつい一発。
どこにどう作用するのか、魂を砕いてしまうような手応え。
そのまましまっちゃうからこの先どうなるのか分からないけど、例えるならいきなり現れたドラゴンに剣を抜く間もなく頭を噛み砕かれた、みたいな?
マップの光点から、お楽しみ中っぽい家を見つけて乗り込む。
「アルファさん、遮音結界お願い」
音が漏れないように家屋全体に遮音結界を張ってもらい、わりと平然と正面から乗り込む。
「誰だ」
誰が来た? って感じで睨まれるが初動が遅い。
宿場町そのものを完全制圧してるつもりだから表に見張りも置いてない。完全に気を抜いている。
この場にいる全員、問答無用で
片っ端、手近な相手から『おしおき棒』で脳天唐竹割り。
「ひぎぃやああぁぁぁぁっ!!!!」
見た目ただの棒、見る人が見れば素人丸出しの振り下ろしなのに何が起こってるのかわからない威力。
『棒』が魔道具で、なんらかの状態異常を付与してるように見えるのだろう。
警戒すべきは『棒』で、ぼんやりしたチー牛はたいしたことない、と。
振り下ろし、横薙ぎ、突き。とにかく顔面というか頭を狙う。
脳みそパァン!(イメージ)
頭を狙うと魂というか何か大事なものが砕けると信じて執拗に狙ってみたんだけど、それが「魔道具の発動条件」とか誤解したのかな。
頭を狙われないようにすごく警戒してるけど、そんなの関係ねぇ!
はい!
「ぎゃっぽっぱぁーーーっ!!!」
阿鼻叫喚の地獄絵図になって、ようやく最後に残った一際体格のいい一人が重なってた女性から体を離し、ゆらりと立ち上がった。
「てめぇよくも邪魔してくれたな」
それなりに腕っぷしに自信があって俺の実力も見えていて、ほんの一かけらも負けるとは思ってないのだろう。
顔面を狙って突きを入れる。
おっさん、軽く『棒』を掴もうと動く。
武技を修め殺し合いをしている相手にとって、木の棒で襲い掛かられても練習・模擬戦の延長ぐらいの感覚なんじゃないかな。
でもそれじゃあ駄目なんだ。
鐘突きの丸太より重い3トン棒の突きは素手では止められない。
「ぎゅぱぁーーー!!」
〈手加減〉一撃でHP1にされて、吹き飛ばされて壁に当たるダメージで死んじゃったら嫌だなあ。
衝撃で家が揺れて埃が落ちてくるぐらいの威力はあるけど、その程度では簡単に死ねないみたい。
ぽろんとまろび出ているナニも全力で突き砕いておく(手加減)。
7名様全員、反省部屋にご案内。
女性にはアルファさんが〈治癒〉〈浄化〉魔法をかけて綺麗にしてから毛布1枚羽織らせていた。
たぶんここの家の住人だし、起きたら後は自分でなんとかするよね。
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