第42話 M字開脚股間まる見え恥ずかし縛りは相撲のすり足みたいに移動することができるんだろうか


 東門出口から街を出る。

 急ぐ旅でもないけど、この街にもこれと言って用事は無い。


 街の南西側は森、北東側は平原になっている。ちょうど森と平原の境界。


 見渡す限り、地平線が見えるぐらいの草原が広がってるけど穀倉地帯には簡単にならないようだ。

 まだこのあたりがモンスターの驚異に晒されていることは街壁の立派さで見て取れる。


 この草原、実は見た目でわからないぐらい危険なんだ。

 見通し良さそうに見えても普通車ぐらいの岩がごろごろしていて、大型犬ぐらいのモンスターや盗賊なんかを平気で隠してくれる。


 通る側は、馬車だけでなく歩きでもおいそれと街道を外れることができない。

 街道は砂利を盛って馬車が通れるように整備しているけど、街道を少し外れると人が落ちるぐらいの割れ目裂け目や崖のような斜面がそこらじゅうにある。


 迂回路も無く一本道を進むしか無いから、良からぬ考えを持つ者たちの格好の待ち伏せポイントになってしまっている。



「おらぁあ! 怪我したくなけりゃ荷物置いてけぇへぶあぁぁ!!」


 3人ほど出てきたので軽く転がして、武器とか持ち物奪って麻紐で後ろ手に縛り上げる。

 M字開脚の股間まる見え恥ずかし縛りはうまく起き上がることが出来たら相撲のすり足みたいに移動することができるんだろうか。


〈鑑定〉で犯罪歴を鼠皮紙にプリントアウトして服に縫い付けてから、〈着火〉魔法で頭頂部を焼いて鳥の巣ハゲに仕上げる。



 いちいち連れていくのも面倒なので〈睡眠〉魔法で眠らせて転がしておく。

 このあと街道を通る一般人に見つかるか盗賊仲間に見つけてもらえるかは運次第。

 一応この戦い(?)を覗き見してる仲間はいないようだと判断している。

 索敵範囲の2kmは視認できるギリギリの範囲だろう。そもそも戦闘が始まってから援軍に駆けつけるにはその距離でも遠すぎる。



 王国から出て隣の国との緩衝地帯とはいえ、まだ歩いて1日も離れてないのにもう3組目。

 いきなり治安悪いなあ。


『盗賊釣り』がなんだか楽しくなってきたのでバックパック(大)装備に変更している。

 見えるように首元にかけてるD級の冒険者証で判断しているのか、一人旅ポーターがカモに見えるようですごく寄ってくる。


 護衛付き馬車を狙うときは見張りが一度離れて仲間を連れてくる流れのようだけど、俺のところには見張りグループ2~3人がそのまま出てくる感じ。

 しかも下っ端のようで『窃盗』『強盗』ぐらいしか犯罪歴が無い。



 城塞都市から馬車で1日の距離、宿場町の規模が大きくなって自由交易都市の様相になっている街に入る。


 ちなみにここが、俺が転移してきた町、オジール達と出会った町だ。

 その頃、10年前と比べたらずいぶん大きくなったと思う。



 勝手に行きつけの店と思っている食堂でしっかりと食事をいただく。

 肉多めのごった煮シチュー、塩味だけで味濃いめだけどおいしい。

 パンもスープに浸さないと食べられないような固さでもない。


 まわり見てるとスープに浸して食べてる派が多いけど。




 水を3杯ほど、しっかり飲んで出発する。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る