第37話 そういうのいいから
「『彩り3種のチーズ牛丼大盛り、温玉トッピング』でお願いします」
超絶美人メイドを市中連れまわすという謎の羞恥プレイに顔面偏差値40の劣等感を刺激されて、『チーズ牛丼』なんて
朝はおにぎりカフェオレで失敗したけど、やっとちゃんと『米の飯』を喰らった感覚。
食べてる間、アルファは興味深そうに1階台所と2階リビングとその奥の寝室をうろうろとしていた。
「これぐらいのサイズ感でいいの。
さすがにあの〈箱庭〉のお城はやりすぎて落ち着かないよ」
「しかしご主人様の力があればもっと立派なところに住めるでしょう」
「ただのD級ポーター、
こんなもんさ。」
「・・・これはもう、ご主人様の実力を正しく世間に広めないといけませんね」
「そういうのいいから」
「ご主人様なら20人ぐらい下働き雇うことできるんじゃないですか?」
「20人か。できないことは無いだろうけど休み無しになるから却下。
それに、僕には出来てもD級には普通無理だから。
あんまり波風立てなくていいんだよ。片隅でひっそり」
「残念です」
「それで、だ。
『あれ』、出せる?」
「『月刊マンガ
いつも読んでたマンガ雑誌、10年経ってどれぐらい変わったか、話が進んでるか期待してたんだけど、読んだ記憶があるような見知った内容だった。
朝食べたサンドイッチの消費期限が転移した年月日だったからそんな気がしてたけど。
ハンパに現代日本のことを思い出すと心がざわつく。
「ちょっとお風呂入ってくるね。ついてこなくていいよ。
アルファは何をしててもらおうか。
こっちの犬小屋の掃除、片付けは十分だと思うんだけど気になるところがあれば。
内装はこの感じがいいんだからね。
底辺冒険者が隠れ家的に用意してる場所だから改装・改造はやめてね。
〈箱庭〉の離宮みたいにゴージャスにされると『僕の帰る家』が無くなっちゃう」
玄関の近くに〈箱庭〉の入り口を出しておく。
アルファさんが静かに頭を下げる。
なにか嬉しそうな楽しそうな
企みアルファ、また何をやらかすのやら。
止めるためもう一言かけようと思ったけど、何をやらかしてくれるのかそれも楽しみだから、何かあれば後から、事が起こってから叱ろう。
湯船で足を伸ばしながら考える。
アルファさん、なにやら物品を取り寄せるスキル持ってるんだよな。
ここは〈箱庭〉仮想空間ではなくリアル側だから無茶はしないだろうと予想してたけど、やろうと思えばお城の内装みたいなこともできるんだよな。
怖い。
怖いといえば、取り寄せ購入の対価がなんなのかがわかってない。
無制限に何でも出せそうな雰囲気じゃないんだ。
〈箱庭〉離宮の維持と同じく自分のMPなら今のところ無理なく余裕なんだけど。
アルファの行動力も、最初こそ魔石渡したけど俺のMP喰って維持できてるようだし。
まあ、まだ起きてない問題を気にしても仕方ない。
意識は〈ストレージ調合錬金〉へ。
汎用の下級・中級ポーションは店に売れないので自分で使う分だけ。
それでもこういう機会があれば100本ぐらい作るのでストレージ内には山ほどあったりする。
ストレージには《時止め》効果があるので腐らないからな。
こういうのはどんだけあっても良いものです。
売れるほうで言えば、胃薬や頭痛薬なんかの効能が下級以下のポーションとか栄養剤とか。
売れると言っても、町の薬師ゴヨウ婆さんに頼るしか伝手は無いんだけどね。
今回10層20層台は急ぎ気味に進んだから、あまり面白いドロップが集まらなかった。
虫肉とか殻とか毒腺なんかは迷宮ドロップより地上で探したほうが集まりそう。
ただ、出会いの切っ掛けが無いからそこ考えたらどうなのかな。
30層台のドロップ品からは、なんというかこれ作っていいのかなって。
・・・『現代兵器』?
ネット環境がいまだにあれで検索しながらの執筆ができないんだけど、とりあえず10層台の虫を蹂躙するために欲しかった広範囲高威力としてナパーム弾を作ってみた。
手で投げる『手榴弾』がパイナップルの愛称で有名。
そんな現代兵器たち、20層後半ぐらいまでしか通用しなさそうなんですけど。
職持ちのオークとか一発では仕留められないと思う。
そう考えると、俺も遠いところまで来てしまったな。
軽く『人外』の域まで行ってしまっている。
『榴弾』、至近距離で受けて耐え切れそうだもんな。
多少なら肉片持って行かれてもポーションで復活できるし。
そのあたりの使い捨てアイテムは追い追い作っていくとして、気になってるのはこれだ。
『自動販売機』
『古代ゴーレムの駆動核』を要求されて、さらに『帝国銀の延べ板』などが大量に必要だったけど、これは錬金メニューから『全身鎧』を分解して調達できた。
マイ《ストレージ錬金調合》史上、最高難度の超大作が出来てしまった。
出来栄えを確認するために風呂から上がろう。
体を拭いてるとアルファさんが〈箱庭〉から帰ってきた。
1刻(2時間)ほどは風呂に入ってたのになんでピンポイントで風呂から出たのわかるんだろう、不思議だ。
風呂場から居間に戻るとアルファさん澄まし顔で静かに頭を下げていた。
この「なにか成し遂げた」達成感の
1階土間スペースに『自動販売機』を出してみる。
10kg
フォルムは正面から見た軽自動車。
ボンネット部分は物を置いたりするために奥行き70cmぐらいでフラットになっている。
正面目線、フロントガラスの部分はタッチパネルモニターになっている。
奥行きは2mぐらい?
なんとなくマスター登録を済ませる。アルファも
『管理者メニュー』から何を取り扱ってるのか一覧で見て、思わず目頭を押さえてしまう。
けっこうとんでもないものまで取り扱ってました。
ダンジョンから掘れそうなアイテムで言うと、前人未踏60層以降と思われるものでも金さえ積めば買えそう。
最近話題のものと言えば『古代ゴーレムの駆動核』、販売価格金貨100枚は商人系スキル〈商品鑑定〉〈商材鑑定〉などで価格が分かる、鑑定で出た価格が基準になってるからそんなに大きくは変わらないようだ。
迷わず『駆動核(
あと、『帝国正装の狙撃銃』も実弾タイプと魔法弾タイプ両方。
なんか管理者価格ということで半額、買い取り金額で買えたけど金貨550枚、5500万円は衝動買いと一言で済ますには高いよなあ。
安いものはMPで買えるけど、金貨10枚100万円相当が俺のMP上限なのか自販機の『MP支払い上限』なのかはわからない。
ちなみにざっと見た感じで全部網羅したわけでは無いんだけど、『銃』に関してはこの上は『神話級』で金貨億枚クラスになって手に負えない。
銃以外ならまだ段階的に上がっていく感じ。
自分の武器に関しては、『棒』以上に愛着あるもの考えられないからなあ。
ギルドに置いてもらおうと考えてたけど、やばいかなあ。
自分の小さな感性で制限かけるか、このまま神話級武器まで購入可能にしておくか。
悩みどころだけどギルマスに相談してみるかな。
知れば「置いてくれ」ってことになりそうだけど。
アルファさんが『照明魔石』を灯してくれて気がついたが、陽が傾いてきてる。結構いい時間になっていた。
『カツカレー大盛り』をお願いして、食事の後はアルファさんに昨晩のリベンジだ!
昨日は疲れて動けなかったけど、今晩は『
魅せてやるぜ!!
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