第34話「じゃあお願いしようかな」
してやられた。
と言ったところか。
目の前の豪邸なんてチャチなもんじゃねえ白亜の城の前でため息をつく。
「アルファさん、これは」
「興が乗りました。今は反省している。」
「反省、してないでしょ」
「ええまあ。
第2皇女様の離宮を思い出し再現してたら出来ちゃいました。
てへ」
「てへぺろじゃ無いよ。かわいくしてもダメ。
どうすんのこれ」
「夢うつつの箱庭世界、せめてこの中ぐらいは贅沢してもよろしいのでは?」
「ん~~~・・・」
思い出の場所なんて言われたら、これ以上なにも言えなくなるよ。
「掃除とか大丈夫?」
「警備や使用人含めて100人規模で滞在できますが、満員で入ってもイメージでは手が回りますね。
現役で現実の離宮では厳しいところありますが、この《箱庭》世界で今の私なら」
「なるほど?
ちょっと気になったんだけど、アルファって元々生きてた誰かの記憶あるの?」
「・・・魂というよりは『物語の記録』でしょうか。
確かに行動指針の主軸として、ベースにとある女性の生涯の記憶はあります。
ですがここにあるのはその『彼女の魂』ではなく
同じ生涯を過ごした記憶を持つ私『アルファ』を100人でも200人でも作ることができると思われます。
たとえば、『
「複雑な家庭環境?」
「ただ、私そのものを『アイテム』としてコピーするのではなく、ドロップアイテムとして『メイドゴーレム』を確保するなら人格の重複はまず無いと思われます。
そのへんは『
「ダンジョンマスター、いるんだ」
「さすがに今現在マスターはその命を終え、代理としてダンジョンボス様がゆるりと維持管理されております。
こうなればもうダンジョンコアの支配、ダンジョン管理権限の強奪などはできなくなりますね。
ダンジョンボスの撃破と同時にダンジョンそのものが死亡し、そのダンジョンは崩壊が始まります。
ラスボス、強いですよ。
いまだに7大ダンジョンが生きているということは、そういうことです」
アルファと話をしながら邸内を案内してもらっているが、広い!
導線とか関係無しに、作りたいところ納まるところに台所なり浴場なり作ってる感じ。
玄関大広間があって、右が食堂台所パントリー、左が応接室会議室となにかの様式美があるんだろうけど。
玄関を南正面として右奥・北東・鬼門側に台所水まわりがあるのは転生者?初代帝王の影がちらつくようなそうでもないような。
中庭も立派だ。
きれいに刈り揃えられ、直線と正円の幾何学模様で形作られた英国式庭園。
その不自然さに人間の傲慢さを感じてあんまり好きじゃないんだけど、そこには触れない。
ま、庭好き花好きな20歳男子なんてそっちのほうが珍しいでしょ。興味無さそうにしてて
玄関広間から2階に上がる階段は不自然なぐらい段差が低い。
その分距離が長く、それなりに広い広間をぐるりと半周する長さがある。
(※女系離宮、裾の長いスカートを履く上流階級が裾を引きずったり持ち上げて階段昇降しなくていいように、スロープは車椅子で昇れるようなゆるい段差になっているものなのです。
他の作品で言及してるのを見たことなかったので補足 by健康中毒)
主寝室、賓客室、客室と案内されて大浴場に出る。
ざっと見渡して20室ぐらいある客室、その1室1室がちょっと広め4LDKマンションぐらいの広さはある。
主寝室なんて立ちくらみするぐらい広い。これだけで十分、というか街のマイハウスの倍ぐらいあるんですけど。
そして大浴場。
もちろん客室の各々に風呂、シャワー室はついている。
目にまぶしいぐらいの白い大理石、ちょっとした銭湯のような広さと間取り。
幅10mぐらい、軽く泳げそうな広さの湯船にはお湯が張られている。
「アルファ、このお湯とか屋敷の維持ってどうなってんの?」
「基本、《固定化》されてますので維持のための魔力消費は無いですね。
温泉のお湯がいつも温かく湧き出しているのと同じように理解していただければ。
それより、せっかくだから入られていかれませんか?」
「そうだね。いただこうか」
アルファの機嫌が急上昇、まるで光り輝くキラキラオーラが見えるようだ。
肩を掴まれ脱衣所に戻る。不意打ちですぽっと上着を剥ぎ取られる。
「いや、そういうのいいから。一人でできるから」
言えば一歩引いてくれるが、出ていく気は無さそうだなあ。
深呼吸程度ではおさまらない、さっきから滾り続けている俺ジュニアのことは気にせず浴場に向かう。
この状況で男が臨戦態勢取ってないのは相手女性に失礼なんじゃないだろうかと勝手に思っている。
なんて気楽なこと考えながら体を洗うエリアに向かう。
「お背中お流しいたします」
「じゃあお願いしようかな」
〈気配察知〉スキル発動するまでもなく、アルファさんついてきてたからね。
いつの間にメイド服を脱いでバスタオル巻きの姿になったかだけは全くわからないが。
髪もキャップにまとめた姿から高めのポニテに、それで肩甲骨を覆う長さだから下ろしたら腰に届くぐらいあるだろうか。
ボリュームを作らないぺったりしたストレートは実に好みだ。
「あら思ってた反応と違いますわね。
もっと嬉し恥ずかしドギマギな反応を期待しておりましたのに」
「恥ずかしがる理由無いから」
「それにしても落ち着いてますわねえ。
迷宮の中でも押し倒して『味見』ぐらいしていただいてもよろしかったのに」
「さすがに迷宮内ではその気にならないよ。
それに今もゆっくり寛いでダンジョン泊の疲れを取りたいんだ。
今から1戦とかやっちゃって余計に疲れたくないよ」
「お任せください」
わかってんのかなアルファさん。
何故かキラキラオーラが強まった気がする。
手指で体中余すところなくあわあわにまさぐられ、マッサージ(健全)で睡魔に襲われて夢の世界へ旅立っていると、気がつけばアルファさんが全身を使ってヘビのように、スライムのように絡みついていた。
股間への熱いアプローチ、振り払う気力もなく委ねてしまう。
「いいですよ、全てお任せください」
耳元で囁かれる美声と吐息、『噴出』したものを含め全身を洗い流され夢の世界に入ったまま湯船・サウナとはしごして小一時間で多分3回はスッキリした。
脱衣所で体を拭き身なりを整え(すべてお任せ)、首根っこ掴まれて逆らえない子猫のように主寝室に連れ込まれる。
王族の寝室、金銀宝石でギラギラしてるというわけでもないんだけど内装や調度品すべてが品よく最高級品でむしろ落ち着かない。
天蓋付きキングサイズのふかふかベッドにぽいっと投げ込まれ(イメージ)、アルファさんがのしかかってくる。
今さら抵抗する気力は無い。
いったいどっちが上なんだか。
・・・騎乗位大好き
すべてお任せの男マグロも悪くない
――――――――――――――――
サブタイ回収
これがやりたかった
どこまで書いて許されるのか
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます