第31話 聞き間違いでしょう。最後まで言い切ってませんし
「珍しいのが来ましたね。お気をつけください」
アルファさんがなんか警告してくれたが、ヤバめなのが来るのだろうか。
炸薬ではなく魔法的な何かのようで、空気がはじける音だけでうるさくはない。
一撃で決めてやろうと、前回と同じく全力袈裟切りを叩き込むため踏み込む。
突然、俺の頭が弾ける!!
ぱぁん! と烈音が遅れて聞こえた気がした。
「マスター!!」
いや、久々に深刻なダメージ食らったけど、頭スプラッシュも無いしすぷらったな展開では無いよ。
初撃は全く見えなかった。びっくりした。
今になってその姿を改めて見てみてやっと理解。『
上の階も含めて古代ゴーレムは何百も相手してるけど、初めて見たよ。
アルファが援護射撃してくれてる間に『中級体力回復ポーション』を1本入れる。
アルファに
『射程』と言えば弓や魔法のほうが遥かに長いんだけど、あれは基本直線攻撃だし連射も無いから読めるんだよ。
『銃』も、ある程度の攻撃を耐えればカートリッジ交換の隙が必ず出来るようになってるし。
アルファさんも例外ではなく、1撃1秒で1カートリッジ15発全部撃ち尽しているようだが、交換と銃身冷却?で連続攻撃はできない模様。
変幻自在に操られる鞭、小さい
鞭の攻撃に棒をぶつけても応えない、1トン攻撃で弾いてものれんに腕押し。
紙一重で避してもそこから巻き込んできたり、鞭のヒモを波打たせて一発入れてくれたり。
唯一の救い?と言えるのか、一撃で命を持っていかれるほどのダメージが無いってところ。
そのダメージの低さを嫌って、俺含めて鞭を選ぶ人、鞭使いは滅多にいない。
対人なら最強とまでは言わなくても結構厄介なんじゃないかな。
自分ならこの攻撃に、鞭の先の錘?に重量増加乗せて一撃必殺な
考えを改めてしまう、いい経験だ。
まあそんな夢を見るのはここを乗り切ってからだ。
武器の変更って、そんなに簡単なもんじゃないよ。
ダメージ覚悟で踏み込もうとすると、相手もそれを察して引きながらものすごい密度の連続攻撃やってくれる。
ダメージ覚悟と言っても、顔を狙ってきたら避けたりどうにかしたくなる。
掃除中の埃まみれでドロドロなモップを顔に押し付けられるような不快感。
ほんと、やってくれる。
アルファの銃撃がそれなりに効いてるように見える。
《再生》や《自動回復》は持っていないようだし、つかず離れずでタンクに徹して「姐御お願いします!」ってやれば決着つきそうだけど、それだと面白くない。
『帝国正装の大盾』を装備してみたけど、鞭相手には無駄でした。
上からでも横からでも、盾でカバーしてる外側から巻き込むように鞭先が、攻撃が入り込んでくる!
ただ持ってるだけ構えているだけの俺の技量ではどうにもならなかった。
全身、金属鎧で固めていればダメージ我慢して突っ込んでいけそうだとは思うんだけど。
棒に鞭を巻きつけて、俺のチャームポイントを奪おうとしてきたので《重量増加》でお返ししてやったら、なんかマズイことになってしまった。
攻撃スピードは若干落ちたけど、避けた鞭先が床に当たる音がヤバイ!
元々の鞭先が軽いのか、足に巻きつけた数百キロの獲物をそのまま引きこみ持ち上げ振り回すだけの腕力・技量があるというのか。
両方だろうなあ。
相手本体の重量を増やすことができれば重力増加攻撃最強伝説が始まるんだけど、俺のはあくまでも《装備重量変更》だからなあ。
相手の装備も変更できるようになったのは十分チートだけど、あとひと押しが足りない。
隙をついてというか鞭攻撃を棒で受けて《重量増加》を解除する。
鞭の他は外装というかゴーレムの地肌?しか無いからなあ。
なんとなく『盾』より緊張感は無いんだけど、手詰まり感がハンパない。
油も効果なさそうだし『武器降らし』も軽く避けられそう。
ストレージから出すときに加速度がつけられればちょっと面白いことができそうなんだけど。
困った。
アルファの姐御の銃撃は当たってるんだよなあ。
こちらとタイミング合わせてるというか、うまくアルファ側への意識、警戒心が消える瞬間、波とか流れを掴んでいるような。
ここから何か攻略の糸口掴めないかな。
戦闘終了は唐突だった。
左足に鞭先が絡み付いてきたんで『重量増加』で耐える。
右足ブーツにも『重量増加』を乗せ、鞭先を踏む。踏みながらその上を滑らせるように間合いを詰め、『
鞭ゴーレム、ここで鞭を手放さなかったのが敗因か。
まともに食らって、そのままこの一撃で決着がついてしまった。
最後、なんか消化不良というか納得いかないもやっとした気持ちだけが残る。
「で、アルファさん的には身を挺してご主人様を助けるような展開は無いの?」
「エレガントではありませんから。
帝国のことわざにも『まだ慌てるような
初撃でまともに顔面に食らったのを見て笑・・・慌てましたが。」
「今、「笑った」って」
「聞き間違いでしょう。最後まで言い切ってませんし」
「え~・・・」
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