第29話 メイドとして、エレガント
「失礼いたしました、軽い冗談です。
ご心配には及びません」
「メイドジョーク難しいな」
メイドゴーレム(?)「アルファ」と軽い会話が続く。
「基本、策敵と隠密行動目的の個体となっております。
武芸一般ひととおりはこなしますが、それなり程度です。
空間魔法、〈アイテムボックス〉も使えますので、迷宮探索のサポートはお任せください」
・・・策敵とアイテム回収運搬と言っちゃえば俺と完全にかぶってるなあ。
こういうのは言わないほうがいいよなあ。
「じゃあさ、この中で使える武器、使いたい武器はあるかな」
「使えると言えば、剣でも大盾でも戦うことはできますが」
アルファは迷わず『機関銃』を手に取った。
「やはり私としては銃器がよろしいですね。
メイドとして、エレガントです」
メイドに『機関銃』、エレガントかなあ? 似合うけど。
ものっそい似合うけど。大好物、ですけど!
「ご心配なく。
銃弾はスキルで〈生成〉しますのでランニングコストや弾切れの心配はありません」
「じゃあ、これも預けておくよ」
スナイパーライフルとATハンドガンも一丁渡しておく。
「他に何か必要なものがあればどんどん言ってね。
言ってくれないとわからないよ」
「では、この近辺でドロップするクラスの魔石を5つほど頂けますか」
魔石を5つ渡す。ボスドロップの魔石をひとつ混ぜたけど、「動力源、魔力タンクに使うにはもったいない」と返してくれた。
「あと、これも使える?」
『古代ゴーレムの駆動核』を出す。
「【
土木運搬系に能力を伸ばすことができますね」
油壺踏んで転んだゴーレム、俺と同系統だったんだ。
それより、見ただけで駆動核の素性わかるんだな。
「じゃあこれはどうだろうか」
あと2つ、駆動核を見せる。
「【
『正装剣』『正装大盾』を存分に使いこなすには駆動核をいただいたほうがよろしいのですが」
「と言うと、複数個を同時に使うことはできない?」
「できないことはありませんが、リソースが限られてますので増やしすぎると器用貧乏で動けなくなりますね。
切り替えながらの運用もできますが、切り替えに数分のロスが出ますので戦闘中に器用に切り替えていくのは実質不可能かと」
「そっか。となると」
「できれば銃撃を伸ばしたいですね」
「う~ん、銃タイプのフロアボスとは
駆動核のドロップは無かったんだよ、残念だ」
(※作者:まさかこんな伏線があったとは。書いてる本人も
「さて、どうするかな。
もう少し稼ぐつもりだったけど、一度帰りますか」
「マスター。まだフロアボスと戦いますか?」
「あと何回か戦う予定だったけどね。
目的の『駆動核』も手に入ったし、これ以上急ぐ理由もあんまり無い。
さっき戦ったばっかりだからあと3刻(6時間)は待たないと」
「リセットする、ボスを呼び出す方法はいくつかあります。
休憩取って準備が出来次第お声お掛けください」
「休憩は無くてもいいから、すぐ行こう。ちょっとここ片付けるよ」
『回復の泉』広場に広げていた武器防具を回収する。
ひととおり拾い集めてから、〈自動回収〉が使えたんじゃないかとスキルのことを思い出した。
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