第26話 あれだ!あんな感じ
真夜中、冒険者ギルドの施療室に女性が運び込まれる。
「暗殺蜘蛛の毒ですね。それで中級ポーションをご使用なされた、と。」
「もう1本、ここでも使ってくれ!」
「同じ位階のポーションを重ねても効果はほとんど変わりませんよ」
オジールが縋るように施術師にお願いするが、返ってきた答えは冷静で残酷だ。
「明日、朝には〈
今、『上級状態異常回復ポーション』の在庫はありませんし、〈
それともギルドで買い取り依頼出してみます?
状態は安定してますから、数日安静にしていれば話ができるぐらいには回復すると思いますよ」
「朝一で教会に問い合わせて、すぐに動いてくれないなら買い取り依頼を出す!」
中級から上級に位階がひとつ上がると、価格は10~20倍になる。
『上級状態異常回復ポーション』は金貨50枚から100枚だ。
ギルドに買い取り依頼を出すとなると、最低ラインで倍額の金貨100枚に依頼料として2割が上乗せされることになる。
なんだかんだで仲間想いな、面倒見のいいオジールだった。
【Side:ユージ】
軽く朝の一戦を済ませて。
軽くはなかったな。超重量級。
39層に戻り、警報ゴーレムを探す。
不意打ちで小突いて、袋小路に逃げ込む。
直線通路から分かれるT字の分岐。「
広いところで乱戦になると【銃】タイプが怖いんだ。いや、【弓】も【魔法】も怖いけどさ。
面白いことに、あいつらに目視されるまでは結構ゆっくりめな動きなんだ。
目が合った?途端に本気になる。
あれだ! 「逃げ切れたら賞金」のテレビ番組の背広グラサン、あんな感じ。
全員揃って〈生命探知〉でも持っているのか、逃げても正確に寄ってくる。
〈
警報ゴーレムだけ、つかず離れずうろうろしているのですごく目立つんだ。
部屋の中にはたまにいるけど、3~5m級の巨人ゴーレムは通路に出てこないから安心だ。
人型、人間サイズのゴーレムに関しては、28~9層の職持ちオークぐらいの感覚で相手できる。
むしろ耐久が低いのでこっちのほうが楽なぐらい。
(※剣撃も魔法も効きにくく、ハンマーなどの打撃武器などは軽く回避される難敵です。この主人公があたまおかしいだけです。
ゴーレム相手に遊んでいると、ふと頭の中になにかのログが流れた気がした。
【
なにが出来るのか、なにが変わったのかチェックしたい。
戦闘中だけど自分のステータスを確認する。
〈箱庭〉と〈自動回収〉。箱庭?
〈自動回収〉はなんとなくわかる、気がする。
うまい具合に転がっているドロップ品に向けて〈自動回収〉を発動してみる。
うん。これはアイテム毎に発動するんじゃなく、〈自動回収〉発動中は戦闘エリア内は全部その名の通り自動回収してくれる感じ。
スイッチパッシブと言うのかな、発動オンオフが選べる。
アイテム回収に手を取られる一手間が無くなればすごく楽になる。
発動中に魔力を消費している感覚も無い。
これはとても良い
ドロップアイテムはストレージに直接入ってくるので、これは自分専用なのかな?
ひと段落ついた気分、そろそろボス復活の気配がするので40層に顔を出してみようかな。
もちろん39層から40層を〈探査〉や〈探知〉〈気配察知〉で確実に把握することはできないよ。
警報ゴーレムは相変わらずうろうろしているので狸穴から出てしばきにいく。
やっぱ、直線通路で闘うと弓や魔法が飛んでくるよねえ。
余裕かました乱戦やってるけど、この直線通路でも複数相手はきつい。
警報ゴーレム倒したときの消え方がなにか怪しかったけど、そのときはまだ戦闘中、囲まれた状況だったので気にすることは無かった。
ゴーレムの『湧き』が止まると同時に、戦闘エリア外のゴーレムの動きからこちらに向かう意志が消える。
まだこの辺のゴーレム密度高いけど、放っておけば適当に散ってくれるかな。
40層ボス部屋へ向かう。
『回復の間』で少し息を整えて、レッツバトル!
体がすっぽり隠れるほど大きな盾を構えている。
【盾】タイプは珍しい?
背後に回るように動いてみるけど、正面に構えた姿を崩さない。
速度を上げつつぐるぐると3周してみて、盾の上から1トン鐘突きを軽く1発。
まあ効かないよね。
これは案外難敵かも。
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