第25話 オジール「まだ俺のターンなの?勘弁してくれ!」
「ティーキー、どこ行ったんだよ!」
「オジール、大きい声出さないで!」
「落ち着いてられっかよ! イノア、なんか気がついたことあるか?」
「わっかんないわよ! いつも通り隣か一歩後ろついてきてると思ってたの!」
「転移トラップにかかった!?」
「ともかく、来た道そのまま引き返すしかできないわよ」
「これ、ちゃんと来た道引き返せてる!?」
「それ地図持ってる人が言っちゃいけないセリフ!」
ここ『
迷宮に慣れている、土地勘のある冒険者なら上層へ向かう、脱出する方向なら迷うこともない。
ただ、ここにいるのはそういうことに興味が無い人、無頓着な人、地図が読めない人たちだけだった。
それでも迷宮のいじわるな視線誘導でなんとなく迷ってたら上層階段に戻されてしまう。
「よし、まずは20層の
居なかったらやばいぞ! ギルドに応援頼むため一人帰して3人で21層探すことになる」
万が一仲間からはぐれたときは、状況によるがその場に留まるより上層に向かう階段に行く判断をするよう取り決めている。
21層から20層へ向かう、地味に長い階段を急いで駆け上がる。
「ティーキー!!!!」
オジールが
「なにがあったぁ!!?」
「落ち着けよ。それはこっちが聞きたいって。」
オジールの問いかけに肩幅がっちりした大男が聞き返す。
「わっかんねぇんだよ!
気がついたら居なかったんだ」
「こっちが聞きたい話なんだよ。
たぶん《転移》の魔法陣が展開してたから急いで駆け寄ったらこんな感じだったんだ」
言いながら、筋肉がティーキーの頬、あごを軽く撫でる。
「んぁっはああぁぁぁぁんんん!!!!!」
艶っぽい喘ぎ声がその場の男性陣の股間を直撃する!
「てめっ!」
激昂するオジールに『中級
「これ使ってまだこんな感じ。
使う前は息を吹きかけるだけ、服がこすれるだけでこうなってたんだ」
オジールが絶句し、なんとか言葉を繋ぐ。
「お、おう。 ありがとう、感謝する」
ティーキーの鞄から『中級
あと、『中級キュアポ』ギルド標準購買価格の金貨5枚にプラス10枚追加。
使ってもらったポーションは現物で返すのが鉄則。
他人に親切にして、なにか事故があったとき「あと1本ポーションがあれば」「あのとき渡さなければ」が、最悪後悔すらさせてくれない事態につながる可能性もあるのだ。
もし現物が無い場合は標準の倍額を支払うのが基本。
なのだが、回復1回分消えたリスクを受けて撤退、再アタックを決めたとしたら5人パーティーでここ20層まで2~3泊計算だと金貨5枚、一人金貨1枚は正直割に合わない。
基本交渉になる話なのだが、たいてい何も言わず対価を渡し受け取る。
渡すほうは感謝を込めて多めに渡すし、受け取るほうも親切を押し付けるつもりは無い。
「善意」から始まるもので「対価」を求めて行うものではないというものだ。
『上級ポーション』とか使って不要に高価な治療を行っても相手が支払い要求を突っぱねたらそのまま取りっぱぐれることになってしまう。
ギルドが仲介するレベルの揉め事に発展してしまっても、ほぼ施療者のほうが負けることになる話。
それとは別に、使ったポーションの代金を上乗せする。
倍返しというやつだ。
オジールが追加でつけた金貨10枚は感謝の意ももちろんあるが、本来もっと下層で活動しているはずの『光の覇道』パーティーの失態を広げない口止め料、見栄の値段も入っている。
「仕方ない。ここで引き上げるぞ」
「あぁ・・・また10層台・・・」
ここで野営に入るパーティーにお礼の言葉を重ねながら、『光の覇道』は出口に通ずる『
――――――――――――――――
おかしい。
もうちょっと頑張ってもらわないとミノさんの出番が・・・
ゲームでいえば「ひとつ前のダンジョン」、戦闘自体は楽勝。だけど何で俺たち苦労してんの?・・・
こういうのが書きたかった、はずなんだけど。
20層後半~ボスは『光の覇道』パーティーに適正からやや楽勝ってところ。
オジールの「ユージ飯用意しろ」も戦闘中に「ポーション(投げ渡せ)!」もできなかった・・・
魔法組が燃費悪い強力な魔法バカスカ使ってガス欠になるのもこれからの話なのに・・・
自分で使う分のポーションどころかメシ1食分も持ち込まないぐらい頭悪いほうが面白かったと思うんだが、作者の「そうはならんやろ」の常識修正が強かったんだ。
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