第23話 オジール「俺たちのターンが続くだと!?」
野営1回分、ほぼ4刻(8時間)たっぷりと休養を取った『光の覇道』パーティー。
途中、夕方時間と陽が落ちた頃合に2組ほど『回復の泉』エリアに到着したパーティーがあったが、ユージがいなければわざわざ挨拶に行くほどでもなく何のイベントも起きない。
「さ、ようやくゆっくり休めたし気を取り直してボス戦いくぞ!」
相変わらずオジール一人だけテンション高い。
他のメンバーのテンションの低さは昨日の「蟲にまつわる思い出」だけではなく、質素な食事事情も十分な理由なのだが。
20層ボス、オークリーダーに取り巻き、剣、盾、斧、槍、頭巾?をかぶり杖を持っているのは
「行くぞ!」
このメンバー相手なら【重戦士】ピンスにも力が戻る。
身長2mを超える集団を目の前にして、元気も気合いも満点だ!
迷いなく頭巾のほうへ向かう。【斧】を弾き【盾】をぶつけあう。
【姫騎士】シャリアが後ろから追いかけサポートする。
体勢が崩れた【斧】の腕を飛ばし【盾】の横をすり抜け【魔】の首を狩る。
返す刀で【斧】にトドメを刺しオジール達の状況をちらりと確認。
【天戦士】オジールは【剣】【槍】2体を相手に互角以上、余裕でやりあっている。
【賢者】ティーキーの唱えるバフを受け、オジールの体がときおり淡く光る。
【氷雷魔術師】イノアも、〈雷撃〉〈氷弾〉を細かく当ててポイントを稼いでいく。
ピンスが〈挑発〉しながら【盾】を敵の群れ、定位置から引き剥がす。
イノア達に【盾】が背中を向けるように誘導し、タイミングを合わせたイノアの〈氷槍〉がオークに刺さり貫く。
飛び散るオークの血や破片がピンスにかかるが、こういうのは平気。
見る間に数を減らされ、オジールに合流したピンス・シャリアが加勢すれば2ランクも違う相手にはどうにもならない。
リーダー単独になる。
ここまで仕事をしないリーダーは、リーダーとしてどうなのかと思う。
自身の身長ほどの長さ、ひと抱えある太さのこん棒を構える。
ピンスが前に出る。
電柱こん棒で叩きつけるような【リーダー】の攻撃を盾で防ぐ。
オジールが剣撃スキル〈
ただ「迷宮ボスに生まれた」というだけの罪で裁かれることに。
対リーダー戦早々、このタイミングだと一撃で決まらないが行動に影響が出るぐらいの大ダメージにはなる。
【リーダー】のヘイト、ターゲット取りが乱れる。
もっと強いボスならヘイトが乱れると戦線崩壊の危機もあるんだけど、この程度の相手なら問題ないしそもそも最初から『ヘイト管理』なんて意識していない。
ピンスも相手の目の前で騒いで、敵を引きつける役目と思っている程度だ。
暴れ始めると【リーダー】が〈吹き飛ばし〉を混ぜてくるのでピンスが正面で構える戦法はあまり有効ではなくなるのだ。
前衛3人全員が「自分も狙われている」と、「
ピンスが【リーダー】の横薙ぎを受け止め弾き返す。
ノックバックが入り、一瞬であれ大の字に体を開いてしまう。
シャリアが〈秋風〉で【リーダー】の利き腕、こん棒を持っている腕を肘から切り飛ばす。
〈秋風〉とかいう穏やかなスキル名だけど、切れたこと腕が飛ばされたことに気付かないぐらいの鋭い斬撃。
まさに冬の到来を予感させるような、目の覚める冷風。
続いてオジールが〈天雷〉を叩き込む。
《聖属性攻撃》の乗った、いわゆる脳天唐竹割りというやつ。
オジールの剣と膂力を持ってしても一刀両断とはならなかったが、頭を割り胸元まで届く一撃は確実に致命傷となった。
ドロップアイテムは『オークのこん棒』だった。
装備条件は厳しいが、かなり強い武器だぞ!
削って木刀にしたり建物の建材にもなったりするので買い取り金額は結構良い。
『光の覇道』、ここで帰る気はさらさら無く、武器は置いていくことに。
他の魔石や金貨なんかをかき集めて先へ進む。
21層に探索に入って早々、最後尾をついて行ってたティーキーの膝が崩れた。
声を出す間もなく静かに倒れてしまった。
パーティーメンバー、気付かずに先に進んでしまったぞ!
――――――――――――――――
P.S.
21話『上級回復薬』の効果を上方修正しました。
旧:関節を超える回復はできない
新:1日以内の欠損は再生できる
それに伴い、1話の「部位欠損の再生は見たこと無い」発言も修正。
他にもなにかありそうだけど、あとはこっそり。
値段を適当につけててそのへん矛盾ってきてるから、そろそろちゃんと見直さないといけない。
どうでもいい追伸の追伸
『おっさん』タモツさんがMPの余りでいっしょけんめい毎日作ってるのが『上級ポーション』各種
世界線が違うので『D級』表記だが効能はこれぐらい。現代社会で使いたいなあ。
使いたいよねえ。
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