第14話「いぇぇ~っす!」 ここぞの『引き』には自信があるユージさんですよっ!
「D級ポーター風情が舐めんなぁ!!!」
あーあ、剣抜いちゃったよ。
「D級ポーター風情に剣抜いちゃってw
勝ったところでなんの名誉、自慢にもならないどころか恥にしかならないのに、負けて転がされたことが知られたら明日から街歩けなくなるよwww」
煽りながら、手早く片付ける。
鍋とか赤熱した魔石が入ったコンロなんかも、リュックに仕舞うふりしてストレージ収納。
騎士様が斬りかかってくる。
「はぁ、話の途中なのに背中から斬りかかってくる。
立派な騎士様ですね~」
「今からボス戦いきますけど一緒にどうですか?」
騎士様を棒で軽くいなしながら、『旋風』メンバーに声をかける。
「あ、ボスのドロップアイテムそちら持ちで構いませんよ?」
「ええ!? わかりました」
『旋風』メンバーも手早く片付ける。ここで1泊と言ってもテント建てたりするわけでもなく基本マントを布団代わりに羽織って暖を取る程度だからな。
「逃げんなポーター!!」
イキる騎士様に大豆サイズの魔石を投げ渡す。
もうひとつ、同じサイズの魔石を手のひらに乗せ、魔力を流す。
手のひらの上に立体映像が映し出される。
『ここはキャンプ地として我らが確保している。勝手に入られては困るのだよ』
さきほどのやりとりの再現動画だ。
「ここで止めないと、彼らにギルドへ報告してもらうよ~。
立派な騎士様貴族様の立派な行動だ。街中に配って、みんなに知ってもらおう」
言いたいことだけ言い捨てて『旋風』メンバーをボス部屋に押し込む。
案の定、想定通りなんとか貴族のパーティーも追いかけてきた。
12人3パーティー、大人数・戦力過多でボス部屋に入るとボスの構成が変わるのだ。
そのへんの事情が判明してから、6人1パーティーでのボス攻略が基本戦略として定着した感じ。
「いぇぇ~っす!」
思わずガッツポーズが出る。
ボス部屋の扉が閉まり、ボスのシルエットが実体化する。
通常ならオークリーダーに取り巻きが5、最小構成なら取り巻き2体の3人パーティーまで見たことあるけど、今回はオークジェネラルにリーダー2、取り巻きが10ぐらい?のなかなか大規模なレイド扱い。
こちらの戦力を6人2パーティーではなく3パーティーと判定してくれたか。
貴族様のグループは、騎士様が頭ひとつ抜けて力がある。
対人戦寄りで魔物相手はどうかという感じだけど、A級はありそう。
残り3人は貴族っぽい坊ちゃん含めてD級以下ってところ。
通常ならこの6人でここ20層のフロアボスどうにかなるだろう。
今のこのボス構成、俺の見立てでは騎士様は最後まで立っていられる実力十分あるけど、足手まといを守りながらとなるときついだろうと。
「ラドル、行くよ!」
『旋風』メンバーを一人連れてボスたちに突っ込む。
他のメンバーはひとかたまりになって壁沿いに反時計回りに移動するよう指示。
ラドルは取り巻きでもいいからひと当てしたら戦闘から離れてメンバーと合流するように。
彼らには『
これはその名の通りボス戦から逃げるためのアイテムだ。使えばボス部屋の前の部屋に戻ることができるものだ。
下層ではぼちぼち入手できるとはいえ、上級治療薬程度には珍しい。
はたして、貴族の財力で手に入れているかどうか。
A級騎士様の力があれば安全マージン考えても子供の引率しながら余裕で抜けられるところだからね。無理に用意してないだろうと。
騎士様個人の私物で持ってるかといえば、気配の配り方や言葉使いなんかがあんまり迷宮慣れしてる感じじゃない。
『冒険者ランク』で言えば登録しただけの『F』でも驚かない。
でもプライドだけは高そうだからギルド内の模擬戦でCランクとかBランクもぎ取ってるような気がするけど。
もし『
これとは別に迷宮入り口まで戻れる『
ただ、ボスとの戦闘中では発動しないから今回は無視して大丈夫。
『光の覇道』時代、こういう生還に直結するようなアイテムはギルドに売るふりをして自腹切って数個確保している。
時間がある時にオークションに出せば、桁ひとつ上がるぐらいの儲けは出るし。
「合流できた」と、ラドルから合図の手が上がる。
「早く行け、とっとと出ろ」と合図を送る。『旋風』メンバーが視界から消える。
さて、ひと暴れしようか。
――――――――――――――――
P,S,
ラブ・ラドル・レト・リバー、な。
もう一人どうしようか。ゴー『ルデン』でいい?
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