第4話 かゆ・・・うま・・・(仮)

「はぁ。仕方ありませんね。

 パーティー離脱の届けは受理します。


 『光の覇道』Aランク昇格は見直したほうが良いのですかねえ」




「そこはそれ。

 今回の依頼達成までは俺も含めてのパーティーの仕事。


 個人ランクDの俺が抜けたらパーティー内個人ランクの平均は上がるから。


 でも、ギルマスには一言報告しておいたほうがいいかもね」




「で、これからどうするんです?」




「どうしましょうか。

 追放言われたのが昨晩ですからねえ。


 すぐに街から離れるかどうか、少し考える時間取るつもりです。

 パーティーに絡まれなければここで後進の指導とかも面白そうですし、ポーターとしても中堅の仕事はできるつもりですし。


 あ、おはようございます」




 朝番の受付さんが出勤してきた。ミドリさんだ。


 結構話し込んじゃったな。

 



 朝の戦争(依頼の張り出し)の時間の前は、その準備で受付さん側が忙しくなる。

 そういうのを見越して早めに切り上げて受付カウンターから離れる。







 さて、今日はどうしようか。

 迷宮に入ってドロップアイテムを集めるか、街の外に出てポーションの材料集めるか。


 どちらにしてもがっつり1日仕事だ。

 今日はそっちのほうに行かず、買い出しとか街で付き合いのある人へ顔を出しに行ってもいい。




 屋台で麦粥をいただく。

 味付けの無い粥を1杯よそってもらい、味濃い目の肉味噌をトッピング。


 トッピング込みで銅貨3枚、30円だ。

 大銅貨1枚100円で払って、釣りはいらないとジェスチャーで伝える。

 これでも十分安い。


 屋台のおっちゃんも、俺が客で来るのは初めてじゃないので釣り銭の用意が遅いw

 チップ期待してんじゃねえよ、きっちりお釣り請求すっぞ!



 混ぜ込んでしまうのではなく、薄味の主食に濃い味のおかずを乗せて自分で味を調節するタイプがおいしいと思うのは、ベースが日本人だからかな。


 たまに白ごはんが懐かしいけど、涙が出るほどホームシックにかかるわけでもない。






 行きつけの武器屋や雑貨屋に顔を出す。


 パーティー抜けたこと伝えておかないと、あいつらが勝手にツケで買っていって請求こっちにまわされたらたまらないからな。


 あと、ツケが残ってたら早めに清算しておけ、と告げておく。

 今は金がある、今回の依頼達成料もきっちり満額出るだろうけど、この先どうなるかはわからないと。


 落ちぶれていくだろうとは俺の勝手な希望的観測。

 個々の力は十分にこの迷宮都市でも上位の実力者だし、さらに飛躍する素地は十分ある。



 迷宮の外のことはだいたい任されてた、というか押し付けられてる意識もなく自然に俺が担当してたからなあ。


 戦闘のほうでは役に立たない目立たないように抑えてた自覚はあったから、せめて雑務のほうはと頑張りすぎたかも。

 オジールもイノアも、金使いが荒いというより冒険者10年やってて相場がわかってないかもしれない。


 下手すりゃ武器の研ぎやメンテナンスなんかは無償でやってもらってると本気で思ってるかも。



 こうなってしまったのは俺にも責任があるかもしれない。





――――――――――――――――

健康中毒世界(2)


 都市部で自炊する人はほとんどいません(※)

 火をおこすだけでもそれなりに時間かかるから、食堂とか屋台を利用するほうが遥かに手軽。

 大量にまとめて作るから美味しくなるし1食あたりは安くなる。


 江戸の町でも屋台蕎麦や寿司なんかのファストフードが大流行した、あの流れ。


 村でも大食堂作ってみんなでまとめて食事取るのは結構当たり前。



 下手すれば食材と薪代が同じぐらいかかったりするので、自炊は完全に趣味の領域。

 日本からの転移・転生者は自炊やりたがるけど、そこらへんの意識のズレはネタのひとつ。



※あくまでも健康中毒が書くスタンダードな中世ヨーロッパ風異なーロッパ世界の話。

 もちろんこの流れをわざと崩すこともあります。


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