第26話

私は真壁、大学一年生の腐女子である。

趣味と養分であるBL摂取を生業なりわいとしている私であるが、学生の本分である勉学。回避不可の試練テストが、先程ようやく……。


「終わったー!!」


ので、あった。


「――真壁、お疲れ!」


目下の悩みが終わり、軽くなった気持ちで教室を出ると。入口にて、日向に声を掛けられた。


「あれ、日向?」


日向は確か、昨日で受講している授業のテストが全て終わってるはず……今日、なんか約束してたっけっかな?


「どうしたの?」

「真壁、夏休み。遊ぼうぜ!」

「うん、急にどうした?」


唐突過ぎる日向の提案に、私は困惑した。


「ああ! 悪い悪い!」


私の返答に、日向は笑いながら謝罪をし。改めて、誘いの説明を始める。


「テストも終わって、もうすぐ夏休みじゃん? 昨日、旭と空井とテスト終わってから話しててさ。そんで夏休み、真壁も混ぜて一緒にどっか遊び行こうぜ! って、なったんだよ」


日向はきちんと説明をしてくれた。なので、事の経緯は理解した……が、私の疑問は解消されなかった。


「いや、なんで私も? 三人で遊べば?」


まあ、旭君と日向の恋路が気になるところではある……だが、しかし。


「夏って、暑いしなぁー……」

「当たり前過ぎる現象に、そんな心底面倒臭そうなトーン出すなよ」

「夏はクーラー効いた部屋で、アイス食べたりBL読みたい」

「う、ん……それも良いけど、俺もやりたいけど!!」

「あと、なんか普通に。そのメンツに、私居るのがなんかヤダ」

「何が普通? その理由が一番良く分からん!」

「男子グループの中に、女子は要らんだろ」

「BLじゃねーから大丈夫だろ、そこは」


確かに、これはフィクションではなく実際に目の前である現実の出来事である。ので……いや、だからこそ!


「余計にだろうがぁぁぁ!!」

「何がだよっ!?」

「日向、アンタにだって分かるでしょ!? ゆっくりと丁寧に順調に愛を育んでいた二人に、突然訳分からん高圧的女キャラが登場して受けにマウントかましてきた時のイラっと感!!」

「分かるけど、今作品の話ししてねーよ!!」

「折角の攻めと受けが仲良くお楽しみデートするご褒美回で、余計な邪魔が入った時の台無し感!!」

「分かる、けど……でも、そこから色々あって二人の仲が進展したり。めでたく付き合い始めたりするもんだろ!?」

「確かに……雨降って、地固まるなら良しとは思うけど……やっぱり、終始お邪魔虫無しのイチャイチャが見たいじゃん!!」

「それは、まあ……確かに、そうだけどっ!!」


私と日向の口論は暫くの間、本題を離れて。平行線を辿るのであった。

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