第12話

「ヒナちゃんと真壁ちゃんって、幼なじみ~とかだったりするの?」


地元トークから、空井君は私と日向にそう質問をしてきた。


「いや……」

「高校からの付き合いだけど……」


なんで急にそんな事を……。


「急に何だよ、空井」

「いや~、ヒナちゃんと真壁ちゃん。しょっちゅう一緒に居るからさ、仲良いなぁ~って思って」


つまり、空井君は私と日向の仲をゲス的な意味合いで疑っている……と?


「あっ! 二人がさ、付き合ってるんじゃね? って、疑ってるワケじゃないんだよ!」


すると、空井君が。私の予想を看破したかのように、そう言った。


「けどさ、俺。男女の友情って、ぶっちゃけ成立しないって思ってたから。純粋に二人がスゲーなーって。んで、そんな仲が良いのって幼馴染とかだからかなー、って思ってさ!」


まあ、趣味友だからなー……けど、その辺深く追求されるのは正直避けたいところだ。


「そういうのってさ」


私がどう答えようが悩んでいると、日向が口を開いた。


「別に、そんなに特別ってこともないんじゃね?」


いつもより少し真面目で、少し重たい口調の日向に。私は微かに目を見開いた。


「俺は真壁のこと、女子って以前にスゲー大事な友達って思ってる。んで、真壁は俺のこと――」


日向の言葉を聞きながら、私はずっと飲み物と格闘していた旭君が明らかに反応したのを視界の端で捉える。


「真壁は俺のこと、男しては一切見てない……つーか、若干女子寄りに思ってる。何の遠慮もしなくて良い、何なら雑に扱っても大丈夫な友達って思ってると思う」


ああ、うん。


「正解」


私は日向の言葉に、即座に同意。


「やっぱりな……」

「さすが日向! 私のこと分かってらっしゃる!」

「まあ、長い付き合いだからな」


呆れた様子で、私にそう告げる日向。


「なんか、女子とか男子とか関係無く。そんな気兼ねない友達と長く付き合ってるって、羨ましいわ!」


私と日向に、明るい笑顔で空井君がそう言った。

その笑顔には、嫌味も皮肉も感じられず。私と日向は笑みを浮かべて、素直にその言葉を受け取った。

それから、私は旭君へと視線を向け。


(私と日向との間に、色恋めいたことは一切合切全く無いので。遠慮なく、日向とラブロマンスを繰り広げて下さいな!!)


と、心の中だけでエールを送るのであった。

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