第3話 ダンジョン潜入!戦闘開始!

「ほんで、修練以外に目的があんのか?」


アスクは自分にかかってくる吸血コウモリを軽く素手で叩き落としながらユーリに尋ねる。

1日かけて歩きダンジョンに到着したアスク達。

今現在アスク達は目的のダンジョンに潜入、地下一階を探索中である。


「それがですね、このダンジョンの調査に向かったギルドの調査員が未だに帰ってきていないらしいんですよ。その調査員達の救援を含めた修練、といった感じですね」


ユーリもアスクと同じように、かかってくる吸血コウモリを剣で切り払いながら質問に答えた。


「見た感じそこまで強そうな魔物はいなさそうだがな、向かった調査員はどれくらいの実力だったんだ?」


アリアがそう尋ねるとユーリは「4人向かったそうなのですが全員がAランク級の実力者だったそうです」と答えた。


話しながら進むと開けた場所に出た。

焚き火の跡があるので、調査員達はここで一度休憩したようだ。


「ここでこのダンジョンの全体図、把握しとくか」


アスクがそう言って地面に手を置く。


「アスクさんは何をやってるんですか?」

「あれはこのダンジョン全体に微弱な電流を流しているんだ」

「ということは、アスクさんは〈能力スキル〉持ちなんですね...」


説明しよう!

スキルとは、この世界において限られたものが持つ固有の能力のことだ。

があれば万人に使える魔法と違って、そのスキルを持つ人間にしか扱えないのがポイントだ!

ついでに説明すると魔力とは、生まれながらに人間が持つ力のことで自然の中にも充満しているエネルギーのことだ。

どんな人間でも微弱ながらに魔力を持っているぞ!

人によって魔力の許容量があり、それによって内包できる魔力も変わってくるぞ!


「誰に向かって説明してるんですか、アリアさん...」

「気にするな少年、そろそろアスクの調査が終わるぞ」


どうやら終わったようでアスクがこちらに近づいてくる。


「調べた感じ3階構造ってかんじだな、生命反応はうじゃうじゃあってどれが調査員の反応かはわからんな」


頭をかきながらアスクが言うがそれだけでも分かれば十分だとユーリは思う。

ダンジョンを把握するなど普通はできない芸当だ。


「電流を流すと聞いたんですが、どんなスキルなんですか?」

「俺のスキルは自分で電気を発生させる能力だ。さっきは当たっても気づかれないレベルに弱く電流を放って、反射した位置から全体図と生命反応を調べたってかんじだな」


自分のスキルと先程の技術についてユーリに説明しながら地下2階へと向かうが、階段を降りた先でいきなりオーガと接触してしまった。


「おぉっと、オーガが2体か。そっち任せてもいいかユーリ?」

「お任せあれです、炎の勇者の実力とくと知るがいい!オーガよ!」


アスクが拳を構え、ユーリが剣を抜く。

アリアはどうやら観戦するようで、宙に浮いた杖に座りながら二人を眺めている。


「いくぜ!どりゃぁぁぁ!!」


勢いよくアスクが飛び出し、オーガの腹に右の拳を叩き込む。

負けじとオーガも持っていた棍棒でアスクの頭をかち割ろうとするが、アスクは振り下ろされる棍棒を受け止めると足払いを決めてオーガの腹部に飛び乗った。


「〈雷迅拳〉!!」


雷を纏った瞬速の一撃がオーガの腹部に直撃、次の瞬間にオーガは魔力となって霧散していった。


少し時間が戻ってユーリの番。


「行くぞオーガよ、〈紅蓮斬〉!!」


剣に炎を纏わせてオーガを斬らんとするユーリ、炎の勇者という肩書き通りユーリのスキルは炎を使うスキルのようだ。


ユーリの剣の腕は見事なもので、流れるようにオーガの足の腱と腕の第二関節を切っていった。


「ふっ!!」


最後に足の腱を切られて立てなくなったオーガの首を切り、ユーリの戦闘はアスクよりも少し遅く終了した。


「やるじゃんユーリ、見事な剣の腕だったぜ」

「いえいえ、とんでもない!アスクさんの動きこそ無駄がなくとても華麗でしたよ!」


お互いに褒め合っている二人だが、アリアはそうは思わなかったようだ。


「確かに見事だが、アスクの場合は最初の一撃で決められただろうが。無駄な力を使うな、馬鹿」


流石はSランク、評価も中々に厳しい...


「まぁまぁ、いいじゃねぇか。さっさと先に進もうぜ」

「はい!早く調査員の方々を助けてあげないと!」


二人がずんずん進み、アリアもそれに続く。

三人の探索は前途多難?である。

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