第14話 新たな未来のために

オルコアヴァンセの襲撃から一夜明けた翌日、影の騎士団とシャドウを含む特事課、リナーシタの大臣らが集まった。突然の襲撃、シャドウに敬意を表した影の騎士団を名乗る来訪者、リナーシタにとっては不明な点が多すぎるため、影の騎士団による説明の場が設けられた。

幸い、襲撃による家の倒壊、怪我人の手当などは、影の騎士団の尽力により次の日には全て解決した。そのため、住民に対する対応は少なく済み、この会合が設けられたのだ。


何から話せばいいのか誰もわからない中、先に口を開いたのは影の騎士団長、影光だった。彼は、自分たちの目的、シャドウとの関係を細かく説明していった。

彼らは、特事課よりもオルコアヴァンセについて多く知っていた。身を隠しながらも、ある程度把握でき、調査した結果だという。


僕に頭を下げたのは影の騎士団という人達だった。この場には4人いるが、他にも2人いて、オルコアヴァンセの調査を継続して行っているらしい。

影光さんが言っていた、僕との関係。僕は影の一族の末裔らしいが、記憶がない。でも、影光さんは大丈夫だ、と言ってくれた。何でも、生まれた時点では人として存在していないため、記憶することができないらしい。内から外へと出たときから人としての全ての機能が使え始めたときから記憶にも刻まれる。

彼女のことだけを知っていたのは、もともと、2人で1つの身体を共有していたため、ということをらしい。


影光の部下、朔はシャドウの能力がないことについて説明した。シャドウは能力が備わっていない訳ではなく、従来の手順を踏まずこの世に生まれてきてしまったからだ、という。従来であれば、外の者つまり彼女の中にシャドウが存在しているまま、彼女が一族を思い出し、シャドウと分かれたとき、自然に能力が使えるようになる。しかし、2人の場合は、その手順を踏まず、先に別れてしまったのが原因ということだ。シャドウは、今後能力が使えないのかというとそうではない。代々、騎士団長が受け継ぐ能力を使えば、すぐにでも力が備わってくれる。騎士団と同じ能力がほぼ使えるようになるが、時に特殊な能力が備わるという。


僕は、無能力者ではなかった。そのことに凄く安心した。力が使えるようになれば、特事課として、多くの人を救い、自らの手で事件を解決したりできる。それに、彼女を自分の手で守り、救うこともできる。僕は、早く能力が使えるようになりたいと強く思った。


その後、オルコアヴァンセへの対応が検討された。今のオルコアヴァンセは着実に勢力を拡大し、宇宙全体を支配する日も近い。また、この組織は、違法な実験を繰り返し、多数の犠牲者が出ていた。これ以上、犠牲者を増やさないためにも早急に手を打つ必要があった。それと同時に重要なのが彼女を見つけることだ。オルコアヴァンセのリーダー、セーヴィスを倒すには彼女が必要不可欠だった。彼女には多様な能力があり、それに一族の能力も加わるとオルコアヴァンセの壊滅の確率が格段に上がるだろうと、影光らは確信していた。

しかし、重要な彼女の居場所はまだ把握できていなかった。おそらくは、オルコアヴァンセの本部だと思われるが、本部に幹部らが全員集まると厄介なことになってしまう。そのため、まずはオルコアヴァンセのメンバーらを掃討していくこととした。


各地に研究所があるため、その壊滅に特事課らが動くこととなった。影光がサポートを行い、全員の能力の向上が行われた。多少の能力者であれば、まず負けることはないだろう。シャドウは影光らと行動を共にし、幹部の掃討に動いた。


1ヶ月後、作戦は開始された。10年にも及ぶオルコアヴァンセの壊滅作戦が始まったのである。

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