第11話 新たな仲間

話は現在に戻る。シャドウが暮らす星、リナーシタではオルコアヴァンセの幹部らが街に攻撃を仕掛けていた。地面の至る所に穴があき、家々は炎に包まれていた。特事課が住民の避難等に追われる中、オルコアヴァンセとの戦いが始まろうとしていた。


空中ではアンリを中心にドラゴンとの戦いが始まった。しかし、戦況は火を見るより明らかだった。アンリは鳥になることはできるが、ドラゴンより大きな鳥というのは無理な話だ。また、彼女が率いる部隊は、空こそ飛べるが、全員が手に剣や槍、弓を持ち戦う手法だった。


一方、ドイルに蹴り飛ばされたソレファスは、咄嗟に受け身をとり、大事には至らなかった。しかし、後を追いかけてきたオルコアヴァンセのメンバーがすぐに攻撃を仕掛ける。そいつは地面に潜り、自身が作った地下の迷路を自由に行き来できる。どこから攻撃がくるか全く読めないのである。


アンリもソレファスも特事課として数々の試練を乗り越えてきた実力者だ。しかし、幹部ではない2人にも関わらず、苦戦を強いられることとなる。一刻も早くシャドウのもとに行かなくては、その思いばかりが募る。


僕は目の前のそいつから聞かされる彼女の話を信じることができなかった。この星を、大好きな両親や仲間を殺したのが彼女だったなんて。何か、こいつらが知らないきっかけがあるかもしれない。それに、今彼女は僕に会ったことに動揺し、酷い痛みと絶望の中にいた。たとえ彼女が僕を知らなくても、僕は彼女を救いたい。彼女が何よりも大好きだから。そのためには、こいつに勝たなければならない。僕は近くに落ちていた剣を拾い、戦いを挑んだ。


ドイルは目の前にシャドウがいるにも関わらず、自身の分身を出現させ、各地に散らばせた。分身の数だけ力が減少するのだが、彼はそんなことは全く気にも止めていなかった。


特事課は星やそこに住む人々を守るため、必死に戦った。しかし、抵抗虚しくドイルらに負けた。本部のメンバーが数人死に、特事課の何人かも瀕死の重症だった。ソレファスやアンリは体勢を立て直すため、撤退を余儀なくされた。ソレファスは近くから敵の隙を伺うことにした。シャドウに至っては撤退することもできず、ただ静かに死を受け入れていた。


そのとき、空が眩く光った。突然のことにその場にいた誰もが目を瞑った。次に目を開けたとき、ドラゴンが空から消えていた。また、ソレファスの目の前にいた敵も突然倒れたのである。何が起きているのかドイルにも理解不能だった。しかし、仲間が死んだことは心のどこかで理解したようである。彼は怒りに任せ、シャドウに剣を振り下ろした。シャドウは咄嗟に目を閉じてしまった。少しの沈黙のあと、痛みを感じないことを不思議に思い、恐る恐る目を開けた。すると、ドイルが腹から血を流していた。ドイルの後ろには、真っ黒な装束に身を包んだ人物が立っていた。

さらに奥を見ると、似たような人物が3人立っていたのである。


彼らは影の騎士団と名乗った。そして、シャドウを見ると、全員が膝をつき頭を下げたのであった。

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