第7話 オルコアヴァンセ
214番。それが彼女に与えられた第2の名前。
彼女は天性の才を持って生まれた。だが、周囲の人間はこの才に気づかなかった。何故なら、この時の人間は知らなかった。驚異的な能力を操る者の存在のことを。
彼女の才にいち早く気づいたのは、宇宙のどこかに存在するオルコアヴァンセという組織だった。オルコアヴァンセは、セーヴィスをリーダーとした大きな組織であった。
オルコアヴァンセの目的は、最強の能力者集団を形成し、宇宙全体を支配することにあった。しかし、能力は1人ひとつ、その事実は変えられなかった。さらに、1人が持つ能力は個人差はあれど、非常に弱いものであった。そこで彼らは、1つの方法を思いついた。いないのなら、造ればいいと。
彼らは、人体を使った実験を始めた。
幹部の1人ハデスを中心に各地の人間が集められ、セーヴィスの並外れた頭脳のもと作られた薬の投与実験が行われた。だが、思うような結果は出なかった。作った薬が悪いのか、そもそも人間が弱すぎるのか。セーヴィスの頭脳を持ってしても、そう簡単にはわからなかった。
彼らは人体実験をする傍ら、星々の制圧にも乗り出していた。より強い能力を持つ者は配下とし、それ以外は星もろとも滅ぼした。彼らの影響力は日を追う事に大きくなっていった。
そんなある日、1人の子供が実験の対象者として連れてこられた。また1人、実験の犠牲者が生まれるのか、それは否だった。その子は実験に耐え、生き残った。見た目も全く異なり、成人の男性となった。しかし、彼の持つ能力は3つ。ハデスと同等の瞬間移動、自らの血を使った武器の生成。残りの1つは誰も見たことがない。後に彼はドイルと名乗り、幹部の1人として組織に大きく貢献することとなる。
セーヴィスの考えではさらに多くの能力を持つことができると考えていた。彼と共通する何かを見つければ、それも夢ではないと思っていた。
セーヴィスは、年月をかけ共通点を見つけ出し、該当する全ての人間を連れ去り実験を重ねた。
時は流れ、地球という星に今まで以上の逸材が誕生した。真の支配者になれるであろう血を受け継いだその子は、セーヴィスにとって、どうしても手に入れたかった存在。しかし、地球は外敵の侵入を許さぬ強固な星。そこで、セーヴィスは1人の幹部を地球に送り込んだ。その子を少しずつ内部から侵食し、頃合いを見て自らの足で本部に向かうよう差し向けた。
しかし、状況は思いもよらぬ方向に動いた。
何がきっかけでそうなったかは定かではないが、その子が突然暴走を始めた。内部にいた幹部でさえも制御することができなかった。その子は地球の最深部まで深く潜ると、地球全体に巨大地震を発生させ、あろうことか地球を滅亡の寸前まで追い込んだ。
地球は混乱に包まれ、張本人であるその子はそのまま意識を失った。援護に来たドイルがオルコアヴァンセの本部まで連れ帰った。その子は腕に「214」の烙印を押され、地下牢に閉じ込められた。その後、想像以上の地獄の日々を送ることとなる。
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