第4話 地球大改革の日
テーラ・ヴェールでの事件以降、僕は何もする気になれなかった。
あの時、出会ったのは間違いなく、彼女だ。ずっと一緒だったんだから間違えるはずはない。なのに、彼女は僕の知る彼女じゃなかった。
地球大改革が起きる20年前、彼女はこの世に生を受けた。この時、彼も生を受けた。立派な警察官の両親のもと、彼女はすくすくと成長していった。毎日のように、両親の同僚が家を訪ね、朝が来るまで語り合っていた。日を追うごとに彼女も打ち解けるようになり、まるで家族のような信頼し合う仲になった。特に父の後輩である真中に、彼女は心を許していた。両親に話せないようなことも、真中には全てを話した。周囲の誰もが、これ以上幸せな家族はいない、と思ったことだろう。
しかし、彼女が大きくなるにつれ、その幸せは崩れていった。
事の始まりは彼女が15歳の時、異常な言動が目立つようになった。どこか遠くを見つめ、何かを話している。止めようとした父を睨み、父の手を掴むと彼女はその手を折った。
恐怖と痛みから悶え苦しむ父には見向きもせず、また遠くを見つめ、話し始めるのだった。
17歳になった頃には、深夜に家を飛び出すことが増え、彼女の知り合いにも声をかけたが、誰もその行き先はわからなかった。
彼女を治す術もなく、両親は彼女を避けるようになった。
時は流れ、彼女が20歳の誕生日を迎えた日、彼女は突然いなくなった。いつものことだ、と両親は考え、ろくに探しもしなかった。
しかし、いくら待っても彼女は帰ってこなかった。
両親は、探し始めることを決め動き始めようとした。
しかし、その日巨大な地震が発生した。人が立っていられないほど大きく揺れ、周囲の家屋は崩れ、道路には亀裂が走り始めた。
次の日を迎える頃には、領土のほとんどが海に沈み、多くの人、生き物全てが行方知れずとなった。その中に彼女の母もいた。残された父は職業柄か、生き残りを探し始めた。そこで再会したのが真中だった。真中と共にいたのは、大西警視総監と総理の息子 遼真だった。
この4人を中心に、地球の復興が始まった。
大地震を生き残った人々には共通点があった。それは、何かしらの能力が使える、ということだった。
真中も筋力が格段に上がり、他を寄せつけない程の怪力の持ち主となった。
そんな中で、彼女の父だけは何の変化もなかった。しかし、元々の性格からか父には多くの人が集まった。彼らの協力のもと、地球は復興を遂げた。
彼らは、巨大地震が発生した日を地球大改革の日とし、その後1ヶ月間を公的な休日とした。
その星の名はリナーシタと改め、どの星よりも美しい平和な星になったのである。
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