第6話・各班の役割



「じゃあ、まずは小花が心配するから、真中家の方々をどうやって守っているかっていうのを、説明するね!」


 亘先生は黒板に向かうと、A班、B班、C班、と板書する。

 そして、さっきもちょっと説明したけど、と言って、A班の下に「戦闘班」、B班とC班の下に、「サポート班」と書いた。


「このサポートってのがね、直接的サポートと、間接的サポートに分かれている。A班の戦闘を直接サポートするのが、B班。武器の手配や移動手段の確保など、A班が動きやすい状況を整えるのが役目。C班は、妖気を集めたり妖魔を捕らえるための術式の展開や、結界の展開、強化をサポートしているんだ」


 亘先生はここまで説明すると、私の顔を見つめ、


「小花、わかる?」


 と聞いてきた。だけど、私は首を横に振った。説明されても、上手く頭が回らなくて理解できなかったのだ。


「じゃあ、小花が知りたいところだけを、ものすごーく簡単に言うと、真中様たちの行動範囲内は、C班の卒業した生徒たちによって、強い結界が張られているんだ。だから、良くないモノは真中様たちに近づけないと思ってくれていいよ。外出される時も必ず誰かが近くで守っているから大丈夫だ」


「そう、なの?」


「あぁ、そうだよ。だから、安心してくれていいよ」


「うん、わかった……」


 亘先生の今の説明で、私が理解できた事――それは、おじいちゃんたちは常に誰かに守られていて、良くないモノに襲われる事はない、という事だけだったけれど、私は少し落ち着く事ができた。

 そして、おじいちゃんたちが無事なら、私は自分にできる事を精一杯すればいいのだと、気持ちを切り替える。


「あの、この特別授業で、班ごとにやる事って、違うんだよね?」


「あぁ、そうだよ」


 私の質問に、亘先生は頷いた。


「B班とC班は、それぞれのサポート訓練。そして俺たちA班は、妖気の浄化と、妖魔を倒すための戦闘訓練を行うわけ。ものすごーく簡単に言うと、ここに居るメンバーには、どんどん強くなってもらうって事だね」


「うん、わかった」


 強くなろう、と思った。

 妖気の浄化とか妖魔を倒すとか、まだピンとこないけれど、その力が私にあって、それでおじいちゃんたちを守れるっていうのなら、絶対に強くならなければって思う。


「よし! じゃあ、今回の特別授業は、ここまで。次からは、実戦的な事をしていくから、ジャージに着替えて体育館に集合するように!」


 亘先生がそう言ったところで、タイミング良くチャイムが鳴った。

 じゃあね、と手をひらひら振りながら、亘先生が教室を出て行く。

 私はそれを見送った後、なんとなくものすごく疲れて、机に突っ伏した。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る