ちゃんと伝えてくれる

「きちんとした事を載せるって約束をしていただけますか?」


「はい、約束します。」


「私の名前は、三日月宝珠みかづきほうじゅです。私は、魂と記憶が見える。そして、その魂が、最後に伝えたかった言葉を伝えてあげたいだけなのです。そして、私はビジョンを見せる事が出来るのです。」


そういうと、三日月さんはポケットから手帳を取り出した。


「五木結斗を含む8人のお話を書いていただけませんか?宮部さん」


「はい、勿論です。」


「それを、こちらの方々に渡してあげてもらえますか?」


そういうと、三日月さんは私に紙を差し出してきた。


「桂木さん、一ノ瀬さん、上條さん、伊納さん、早乙女さん、村井さん、浜井さん、ですか?」


「はい、これはこの7人の方に向けてのメッセージが含まれています。いつか、教えてあげようと思ったのですが…。この場所にこられる事もありませんでした。それに、私が伝える術もありませんでしたから…。怪しいでしょ?私は…」


そう言って笑う三日月さんは、さっきよりは笑顔が普通だった。


「この神社は?」


「ああ、ここの事は全てが終わった後にお話します。案内人さん。彼女を連れて来てもらえますか?」


「かしこまりました。」


そう言って、案内人さんはお辞儀をした。


「では、私は少しはずします。お名前を調べていてください。」


そう言うと三日月さんは、どこかに消えてしまった。


私の横に案内人さんが、やってきてピッタリと横に並んだ。


「あの、この色は何か関係があるんでしょうか?」


私は、五木結斗とその隣の名前を指差した。


「それも、全て三日月さんがお話になります。」


「そうですか、わかりました。」


私は、そう言ってスクラップした記事を鞄から出した。


前原雄一、並木望絵、冴草健斗、旭川愛梨、荻野美花、早乙女加奈枝、宮瀬歩、前野友作、三笠千尋、篠宮勇紀…。


「それは、自殺や事故や事件ですか?」


「はい、小さな記事から全部スクラップしてるんです。」


「どうして、こちらに?」


「それは…。」


案内人さんに言われて、私は半年前の出来事を思い出していた。


「宮部、依頼きた」


「依頼ですか?」


「33年前の事件の犯人ってさ」


「えっ?」


私は、先輩の久代ひさしろさんに言われてその人の所に行った。


「どうも、初めまして」


「初めまして、宮部希海みやべのぞみです。」


「私は、柏村流也かしむらりゅうやです。」


「あの事件の犯人さんですか?」


「ああ、そうです。五木結斗を殺害した。犯人です。本名は、大海力おおうみちからです。」


「あの、どういったご用件ですか?」


「私も罪を償って生きてきたんです。そろそろ、私小説でもだしたいでしょ?わかります?」


「私小説ですか?」


「はい。」


そして、大海さんは続けた。


「神社の話知っていますか?」


「神社って何ですか?」


「ペンと紙を借りてもいいですか?」


「はい」


【恋喰愛喰死巫女】と紙に書いた。


「何ですか?これ」


「さあ?読み方、わからないです。ただ、私はこの場所で結斗の事を願った。そして、あの日結斗を殺害した。」


「それが、これのせいだと?」


「わからないから、調べて欲しいんです。そしたら、私小説だしますよ。ここで…。有名になれますよね?私のお陰でここも」


「えっと…。」


「いいですね。やりましょうか」


「えっ?」


「いいじゃん。オカルト記事ばっかりなんだから、殺害は神社の呪いって何か面白そうだろ?」


「先輩」


「なっ?宮部」


「あっ、はい。やってみます。」


それで、私は調べた。


いろんな事件を全て調べた。


そして、ここにやってきた。


「宮部さん」


「あっ、はい」


「三日月さんが、準備が出来たようなので行きましょうか?」


「はい」


私は、案内人さんについていく。


お金の為に私は、あの事件を呪いにしようとしていた気がする。


「こちらです。」


だだっ広い空間に連れてこられた。


「失礼します」


「どうぞ」


そう言って、三日月さんは私をそこに座らせた。


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