(3)
「なんだ、そのこと? みんなに送ったら面白そうだなと思って、シェアしといた!」
疑問に答えるように、遥が眩い笑顔でそう言い放った。愕然とする私たちに構うことなく、彼女はご機嫌な様子で喋り続ける。
「ななが教室入ってきた時のみんなの反応、どうだった? あー! 朝練無かったら見れたのになあ」
そんな、まさか。
どうして遥が? ゲームの発案者である多香子が考え付くなら分かる。娯楽と刺激のためなら、人を傷付けることも厭わないと思っていた。だけど遥は、何のメリットがあってそんなことをするの?
ショックだった。グループの中で、一番話しやすいのは遥だった。対等に扱われていないと感じることはあったが、それでも、こんな風に裏切られるとは思っていなかった。
「何てことしたの……」
若葉が溜息を吐き、多香子も呆れた様子で遥を見つめる。当の本人は何が悪いのか分からないといった様子で、目をキョロキョロさせている。
「え、何で喜んでくれないの……? 多香子こういうの好きだよね? ハル、間違ってないよね?」
へつらう遥に対し、多香子は心底失望した様子で「もういいよ」と宣った。
「もういいってどういうこと!? ね、ハルのこと嫌いになったとかじゃないよね? 嫌だ、ななみたいになりたくない!」
遥の言葉は、鋭利なナイフのようだった。心がズタズタになっていく。あまりの衝撃に何も言い返せない自分が悔しくて、涙が溢れ落ちないようにするのに必死だった。
「ごめん……こんなつもりじゃ無かった」
泣きべそをかきながらすがりつく遥を鬱陶しそうに退かしながら、多香子が私に言った。
言葉が出ない。多香子が謝るなんて、思ってなかった。遥がこんな暴挙に出るなんて、思ってもなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます