1. 小さな箱庭

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「ねぇ、暇だしゲームしようよ!」


 多香子がそう言い放ったのは高2の春、5月のことだった。遥がすかさず大きな声で賛同し、若葉は曖昧な笑みを返した。私は、嫌な予感がしてたまらなかった。


 多香子と若葉と遥、そして私は4人グループだ。私以外は元からの友達で、私は後からグループに入れてもらった。クラス替え初日、誰にも話しかけることができず、この世の終わりだ……と思っていた私にとって、最初に声を掛けてくれた多香子は女神のように見えた。



 容姿端麗でカリスマ性のある多香子、成績優秀で先生からの人望も厚い若葉、少しガサツだけど、面白くてムードメーカーの遥。特に取り柄のない私がこのグループに入れてもらえたのは、奇跡だと思った。



 だけど、時々、違和感があった。彼女たちから対等に扱われていない気がした。はっきりと言葉にされたわけではないが、それは彼女たちの何気ない言動に滲み出ていて、感じ取ることができた。出会って約1ヶ月が経った今も、私は彼女たちとの間に埋まらない溝を感じていた。


 私は必死だった。どうすれば、彼女たちに認めてもらえるのか。本当の仲間として扱ってもらえるのか。そんな浅はかで情けない考えは、きっと多香子に見透かされていたのだと思う。

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