(2)
「ゲームの内容は、このクラスで一番キモい奴と友達になること! どう?」
多香子は声高に言い放った。キモいやつ。その言葉に、心がざわついた。絶対にやりたくない……。気配を消そうとする私を見て、多香子の目は獲物を見つけたと言わんばかりに輝いた。
「なな、やってよー!」
多香子は鋭い。そして、加虐心が強い。人が一番したくないことを見破る力を持っている。
「わ、私……?」
なんとか振り絞った声は、情けなく裏返ってしまった。
「契約期間は、とりあえず3ヶ月にしよっか。夏休みも挟むし、もう時間ないよ!」
「……うん、分かった」
強引に話を進める多香子に、精一杯の笑顔を作って答えた。大丈夫。クラス替えまでの辛抱だ。断ることで嫌われ、一人ぼっちになってしまうことだけは避けたい。
多香子はターゲットを探すべく、子供のように無邪気な笑顔で教室を見渡した。彼女のこんな気まぐれで、人生が狂うかもしれない人がいる。私は心の中だけで、まだ見ぬ被害者に謝った。
「決めた、伊原にしよ! あたし授業の発表くらいでしかアイツの声聞いたことない。なな、早速行ってきてよ」
多香子の無慈悲な一言で、ターゲットはクラスメイトの
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