第23話 巨大生物は、おワカメシャンプーで撃退ですわ!

 その後、ドゥカヴニー国とオラトリア王国の共同で、シャンプー作りが急ピッチでススメられます。正確には、シャンプーによる猛毒作りですが。


 なぜシャンプーにしているかというと、余ったらまたシャンプーとして使うためですわ! 人間には、害がありませんからね。


「敵の弱点が知れて、よかったですわ!」

「そうも言っていられないよ、ルカン!」


 なんと、例の半魚人がドゥカブニーにまで攻めてきました。


「やはりな。ドゥカブニーは世界有数のワカメ生産国だ。奴らの狙いは、ワカメの撲滅だったんだろう」


 ワカメは魔獣ザラタンにとって、天敵です。撲滅しなければいけなかったのでしょう。


「半魚人の始末は、我々にお任せを!」


 ギルマスのエルフお姉さんに、ワカメシャンプー作りを止めないように頼みました。


「ではステイサメさん! いきなり大技、行きますわ」

「【シャークネード】だよね? お安い御用だ」


 わたくしがキャンディケインを振って、ステイサメさんに魔力を送り込みます。


 ステイサメさんが、ブレイクダンスのウインドミルで、海に渦を起こしました。


 幻のサメが密集した渦に巻き込まれて、半魚人たちは噛み砕かれます。


「この程度の数、造作もないですわ!」


 後は、シャンプー開発を急ぐのみ。





 決戦当日、我々はまた沈没船へ乗り込みました。


 以前は逃亡しましたが、今は違います。特大の鉄製タンクを幻影サメに担がせて、移動中ですわ。あのデカい化け物を倒すため、船ほどの大きさを持つタンクを作りましたの!


「おいでなさいました!」


 ザラタンですわ! 相変わらずデカい巨体をのっそりと動かしていますわね。汚らわしい。こんな害虫、海から消滅させて差し上げましょう。


「お二人は、ザラタンの注意を引いてくださいまし!」


 わたくしは一人で、ザラタンの急所へ向かいます。


 あのクモの突起を出す部分へ、突っ込んでまいりますわ!


「一人では危険だよ、ルカン!」

「わたくしが行かねば、誰が行きますの?」


 ステイサメさんの忠告を聞かず、わたくしはタンクを持ってザラタンのシッポへ向かいます。


 当然のように、ザラタンはわたくしの方を追ってきますわ。


 これが、わたくしの狙いです。


 ザラタンの岩のような爪が、タンクを刺し貫いてしまいました。


 中から漏れ出したのはシャンプー……ではありませんことよ。


 ザラタンも、異変に気がついたようですわね。視界を失い、わたくしを探せません。


「砂鉄ですわ。からのー、【シャークネード】をお見舞いして差し上げます!」


 ザラタンの視界を、シャクネードによってさらに悪く致します。


 そのスキに、タンクに収めていたもう一つのタンクを、誘導します。


 これはわたくしのスキル、【殺人避妊具マンイーター・スキン】に詰め込んだシャンプーですわ。

 シャンプーは、こちらに入れておりましたの。こちらこそ、わたくしの本命。切り札でしてよ!



 ステイサメさん、エビちゃんさん、お芝居ありがとうございます。



「さあ、『ほしい』って言ってご覧なさいませ!」


 これを、ザラタンのお尻へと……。


「ブスリ、ですわ!」


 わたくしは、ザラタンの純潔を奪いましたわ。


 んほおお、といった不気味な咆哮を上げて、ザラタンは悶絶します。


 鉄タンクに爪の自由を奪われ、攻撃手段を失ったザラタンは、もうシャンプーをお尻から受け入れるのみ。


 毒素となる成分を粘膜から直接注入され、ザラタンは激しく悶え苦しみました。それも、数分で収まります……。


「あっけない最期でしたわね」

 

 

 ザラタンの死体が浮き上がってきて、冒険者ギルドの方々が歓喜の声を上げました。


「すごい……上位の冒険者たちを屠ってきたモンスターを、たった三人で倒すなんて」

「わたくしたちだけの力ではございませんわ。みなさんの協力があってのことでしてよ」

「それでも、感謝いたします。ほんとうに、ありがとう」


 で、ザラタンの死体ですが、爪と甲羅だけいただきます。

 装備として加工してもらえるそうですわ。


 いよいよ、本格的な沈没船探索ですわ!

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