第18話 お風呂でワカメのおハーブシャンプーとシャレコミますわ!

「は~あ。生き返りますわ~」


 声のトーンがゆるくなるくらい、気持ちのいいお風呂ですわね。


 わたくしたちは、お城の外れにある「海の見える露天風呂」をいただいているところです。


「ホントだ。気持ちいいね、ルカン」

「ええ、ステイサメさん」


 ステイサメさんも、パーカーを脱いで丸裸で湯を浴びてらっしゃいます。広い浴槽を、泳いでおいでですわ。すべすべで白いお肌が、健康的ですわね。


「この大浴場は、戦士の傷を癒やす他に、滋養の効果もあるのだ」


 エビちゃんさんも、素顔と肌をさらして、湯につけておいでですわ。ヨロイを脱ぐと、まあ、なんとも。彫刻像のような、麗しいお体ではありませんの。


「おキレイですわ。ちゃんさん」

「キミに言われてもなぁ。ホントにただの冒険者か? 【サメ使い】って、美貌まで引き継ぐのか?」


 わたくしをまじまじとみて、ちゃんさんがうらやましがってございます。わたくしといたしましては、そこまで感じてはいませんでしたが。


「ステイサメさん、お背中流しますわ」

「いいの? ありがとうルカン」


 一緒にお湯から上がり、ヘチマでステイサメさんの背中を流します。


「ああ、スベスベですわ」


 ちゃんと人の肌を感じますわね。皮膚までサメなのかと思いましたが、偏見でしたわ。


「ありがとう。今度はワタシがキミの頭を洗うね」

「もしや、例のおハーブワカメシャンプーをお使いに?」

「うん。ドロっと」


 ステイサメさんが小瓶を開けて、手にシャンプーを垂らします。ヌメリのあるシャンプーですわね。


「いくよ、ルカン」

「どうぞ。ほわあ」


 ステイサメさんの指が、わたくしの髪を優しくブラッシングなさいます。


 あまりの気持ちよさに、頭がボーッとなりそうですわ。


「やっぱり、ルカンが一番胸が大きいな」

 

 横から、ちゃんさんがわたくしの横乳を覗き込んできました。


「そうですの?」


 わたくしは、意識したことがございませんの。


 ステイサメさんは、頭皮マッサージもしてくださいます。これは、ちょっとしたエステですわ。これ、スキルになりませんかしら。そしたら、いつでもできますのに。


「流すね」

「ふわい」


 思わず、眠ってしまいそうになりましたわ。


「交代いたしますわ」

「ありがとうルカン……おうふ」


 一気に、ステイサメさんも夢心地な顔になりました。


「かゆいトコロとかはございます?」

「ないよ。全体的にゴシゴシしてほしいかも」


 強めのシャンプーが、お好きなのですね。


 やや力を入れて、シャンプーをいたします。


「二人とも、気持ちよさそうでなによりだ」

「ええ。お次は、ちゃんさんを洗って差し上げますわ」

「わ、私はいいんだ!」

「遠慮なさらず」


 ステイサメさんと二人で、ちゃんさんを囲みました。せっかくの機会なのですから、体を洗って差し上げます。


「人にしてもらうって、恥ずかしいな」

「でも、病みつきになりましてよ」

「わかる。たしかに、これはいい」



 お風呂の後は、ディナーですわ。


「もぐもぐっ。こちらもおいひいですわね」


 海鮮、特にお刺身をいだだいています。お寿司まで握っていただきました。


「絶賛してくれて、ありがとう。ただ、これでも漁獲量は減ってしまったのだ」


 国王がおっしゃる感じだと、案外深刻な状態のようですわ。


「人間の城などに提供する分はまだあるのだが、民間にまで広めようともなると、大変でな」


 これは一刻も早く、くだんの【ザラタン】なる魔物をやっつける必要がありますわ。


「ザラタンの居所はわかりまして?」

「沈没船だ。そこに自身で結界を張って、ダンジョン化している」


 配下の魔物たちで、船の内外を守らせているそうですわ。


「では、さっきの半魚人どもも」

「おそらく、ザラタンの差し金だろう」


 実はこの国は、ザラタン退治のために各国へお触れを出したそうです。で、冒険者たちが集まってくれたと。


「とはいえ、ほとんどが、さっきの半魚人との戦いで負傷したか、逃げ出してしまった」

「我々がいますわ! 国王さま、ご安心を!」


 今日は英気を養って、明日はいざ沈没船ですわ!

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